「私は何歳だと思いますか」という問い。  

先月、尊敬する母校の先輩である、
キムTこと木村利光先生と、
北上地区PTAでコラボ講演を行いました。

その講演会で、木村先生は
こんな話をされました。

生徒の前で自己紹介する際、
最初に

「私は何歳だと思う?」

と問いかける。

生徒達は「50歳」「55歳」「65歳」
などと口々にこたえる。

そんな生徒たちに対して
「ピンポーン!全員正解!」
と言う。

なぜ全員正解なのか。

それは、最初の問いかけが
「自分は何歳か?」ではなく
「何歳と『思うか』」という、
いわば答えのない問いだから。


というものです。

つまり、その問いに対し、
自分が一生懸命
その根拠を考えながら
出した答えならば、
それはすでに正解なのだ、
というわけですね。

大切なことは
正解を知っているかどうかではなく、
想像力を働かせること。

たとえそれが
「正解」とは異なっていたとしても、
間違いを恐れず、思ったことを
発信することにこそ価値がある。

そしてその「答」が
真実と異なっていたとしても、
自分で考えだしたという経験を経て
真実に到達することの方が、
より強い理解につながっていく。

私はキムTの話をこのように受けとりました。

ちなみに余談ですが、彼のこの
「年齢クイズ」にはオチがあって、
本当は「3歳」なのだそうです。
なぜなら「利光=(としみっつ)」だから。
こりゃあ爆笑ですね。


「対話」における「問い」の基本は、
相手の気持ちや思いを知りたいからこそ
発せられるものだと思います。
だから、そこには
「正解」が存在しているわけではありません。

しかし、今、教師や親が、
子どもに行う「問いかけ」をみると、
往々にして、
既に教師や親が持っている
「正解?」に導こうとするものだったり、
あるいは、自分が有している「正解?」を
子どもがその通りこたえられるか
「験す」ものになっていないか、
私はそんなふうに感じるのです。

そんなことをつらつら考えていたら、
先日PTA講演会で話題にした、
ヘリコプター&カーリングペアレント
のことを思い出しました。

これは以前ブログで述べたことと
重なるかもしれませんが、
また書こうと思います。

ヘリコプターペアレントとは、
子どもの上空で常に目を光らせ、
子どもが嫌な思いをしたり、
失敗しそうになったときに舞い降りて来る親、

カーリングペアレントとは、
子どもの行く先々の障害物を
先回りして取り除き、
子どもを誘導する親のことなのだそうです。

いわゆる過干渉・過保護ということですね。

するとある人から、
ヘリコプターティーチャー、
カーリングティーチャーというのも
あるのではないかと言われ、
なるほどと頷きました。

それは、子どもの学力は
すべて自分の指導によるものと勘違いし、
過剰に語り、すべて自分の掌で
生徒をコントロールする教師のこと。

そして、子どもの考え方を、
教師の思う方向に
無理やり導こうとするというものです。

いわば、教師と保護者は
生徒を幸せにするための同志であるとともに、
生徒をスポイルしてしまう
共犯関係にもあるのかもしれませんね。

ちょっと絵を描いてみました。

hcpt.png


ヘリコプター&カーリング
/ペアレント&ティーチャーとは、
子どもをより良い方向に
導きたいという強い思い(=愛)が
根本にあると考えて、
どちらもかわいく描いてみました(笑)。

つまり、子どものために先回りして
手を打つこと、
コントロールしようとすることは、
子どもを傷つけたくない、
失敗させたくない、
もっと「できる子」にしたい
という思いがあるからこそなのでしょう。

でも裏を返せば、それは
「傷つくあなたは許せない」
「できないあなたはもっと許せない」
「だからあなたは~すべき」
というメッセージにもなります。

そして、そもそも人は、
ひたすら「他よりできるようになる」ために
生まれてきているわけではないのです。

ウルグアイのムヒカ大統領は、
人間は発展するために
生まれてきたのではない。
そして発展は幸福を阻害するもの
であってはいけないと言っています。


ところで、先日、
つねに一歩先行く
教育改革のフロントランナーであり、
未来からの使者であり、
かつ宇宙人でもあるらしい、
尊敬する江藤由布先生が
フェイスブックの記事に
このようなことを書かれていました。


繰り返し言っているのは、
・Don't worry if your're not finished.
・It's important to try new things.
・Having the right answer is NOT important.
・Help each other.
 さらに、
・There’s no wrong idea as long as it has a reason.

なぜなら、生徒たちが以下のように
ギプス状態だからです。

①普段の授業できれいに書いて
 提出することばかり求められてきたので、
 どうしても最後までできないといけない
 という呪縛がある

②普段の授業で同じことの繰り返しだったので、
 新たな挑戦への恐怖がある

③正解でないと再テストを課せられて来たので、
 答えを欲しがる

④小テスト慣れしすぎて、人の答えを
 見てはいけないと信じ込んでいる。

⑤アウトプットの構造自体何も教えられていない。


これまた膝打ちまくりで、早速メモメモ。

さすが宇宙人。

私はこれまでブログの中で、
教師の発問について何度も書いてきました。

なぜかというと、その発問、問いかけに内在する、
教師のヘリコプター/カーリング的教育観や、
さらに言うと、学校教育の構造的な問題点が
見えるように思うからです。

というか、教師の注入型・行動主義型メンタリティは、
そういった構造によって
産み落とされたものなのかもしれません。

であるなら、逆に考えて、
この「対話」「問いかけ」を見直すことが、
学校教育の根本を変えるための
はじめの一歩になりうるのではないか
とも思っています。


 

黒橋の鉄人セミナー2日目の話題

先週は3日間、
黒橋の鉄人セミナーを行いました。

その2日目に扱った2017年の東大の問題。


02ベクトルの分解東大

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一応上写真のような解答を行ったのですが、
途中、2人の生徒に協力してもらい
輪ゴムを使った簡単な演示をしたら
わりと講評でした。

そこで、昨日、
校長室で再現動画を撮ってみました。

東大のベクトルの問題ですが、
実は中学校の知識(比例)だけで
理解できるかと思います。

尚、カメラマンは副校長先生です。




退職したら
こんなワンポイント動画をたくさん作ろうかな。


 

「今、黒橋の壁が賑やか」

本校職員室前に
「黒橋の壁」といわれる
掲示物を貼る場所があります。

今、この黒橋の壁が
とても賑やかになっています。

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1・2年生の生徒が
3年生のために折った千羽鶴と、
その合間に、「優」「今」など、
3年生の各クラスの代表が選んだ漢字が、
色紙に書いて並べられています。

この書は進路課長の
T先生の筆によるものです。

そして、私が結団式で使った紙芝居も、
キャラクタに色をつけて貼られています。

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このセンス素晴らしい!

色づけ、壁のレイアウト、
そして折鶴を繋いで千羽鶴にして
装飾を施してくださったのは、
本校の支援員のあんなさんです。

生徒達の頑張りを見て、
自分も何らかの形で関わりたいとのこと。

頭が下がります。

ありがとうございます!


 

「花巻祭りと期末考査」

本校では現在、学校評価のための
保護者の方からご意見を
まとめているところです。

今回は100件を越す
様々なご指摘をいただきました。

辛辣なご批判も多くいただいておりますが、
これも本校への期待の表れ、
内側にいる教職員が気づかぬ
貴重な情報であると真摯に受け取り、
肝に銘じ、ご意見を
学校経営に反映できるよう
取り組んでいきたいと思います。

また、学校設備に関する件は、
設置者である県と連絡を取りながら
すすめて参りたいと思います。

ところで、ご意見の中に、
花巻祭りへの参加についての
要望が何件か見られました。

実は、昨年度私が本校に赴任して以来、
多くの保護者から

「花巻北高校だけ、
生徒に花巻祭りに出させないために、
敢えて期末考査を
祭りの日程に被せて実施している」

という言葉をいただきました。

私自身、平成16年度から5年間
花北に勤務していましたが
そんなことは一度もありませんでしたので、
「まさかそんなことはないですよ」
と応じていたのですが、
噂が噂を呼んだのか、
これまで、かなり多くの保護者から
そのようなご指摘を受け、
また、最近では中学校の先生からも
同じ話しが聞かれるようになりました。

そして、それを端緒に
「花北は勉強さえやっていればいいのか」
といった風潮が助長されているような
空気を少なからず感じておりました。

確かに、昨年度と今年度、
期末考査と花巻祭りの日程は
重なっているのですが、
「敢えて祭りに出させないために」
ということでは決してありません。

この点について少し説明をいたします。

なぜ、期末考査が
このような日程になるかというと、

まず、文化祭が9月の頭にあり、
さすがにその直後の考査は酷であるので、
少なくとも9月5日以降にしか
入れられないということがあります。

ならば文化祭を10月へ
移動すればいいわけですが、
そんな時期に文化祭を持ってくるのは
3年生の負担を考えると
相当無理があります。

では日程を後ろにずらそうとすると、
修学旅行から逆算して
3期の日数が確保できません。

そして、期末考査が連続日程に
ならないためにどうしても
休日またぎにする必要があります。

そのような理由で今年度は
この日程に落ち着いています。

尚、本校では年間指導計画を
過去11年間の予定と照らし合わせ、
綿密に各課・学年の
打合せを行いながら立案しています。

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2007年からの期末考査の日程と
花巻祭りの日程を表にしてみました。

3期末日程

2012年度までは考査期間が長く
比較しにくいので、
2013年度以降に着目してください。

ご覧いただくとわかりますが、
来年度(2018)の期末考査は、
現段階で10日から14日の
日程にしておりますので、
ちょうどテスト後に花巻祭りとなり、
保護者の皆様の要望を
満たすことになります。


更に言うと、実は、来年度から
3年間は花巻祭りと
かぶらない可能性があります。

こうなると、もしかしたら
こういう噂が立つかもしれませんね。

「下町校長が来たおかげで
花巻祭りと期末考査がかぶらなくなった」

それは大変嬉しいのですが、
でも事実と違います。

そんな噂が立ったらとても困ります。

なぜならそれは単なるカレンダー上の
マジックに過ぎないからです。

つまり、花巻祭りは
9月の第2金曜日からと固定されているので、
今年度と昨年度のような第2金曜日が
10日前になる場合は
どうしてもそれ以前に
考査を行うことが物理的に難しく、
土日またぎか、
または祭り直後の開始
(花巻南高校型)
にならざるを得ないのです。

2013年から2015年は、
第2金曜日が10日以降にあるので、
たまたま花巻祭りと被らない
日程になったというだけです。

何ら恣意的な動きではなく、
カレンダーの周期の問題です。

もう一つ、「花北だけが」
という言葉に対してですが、

とりあえず、今年度の花巻管内の高校の
3期末考査の日程を以下に示しておきます。

花北 7日(木)~12日(火)
花南 11日(月)~15日(金)
青雲 7日(木)~12日(火)
農業 7日(木)~12日(火)
大迫 7日(木)~12日(火)
花東 7日(木)~12日(火)

花南を除いてすべて本校と同じ日程です。

花巻祭りは8日~10日ですので、
どの学校も考査直前か
期間内にあたっています。

県が定める管理運営規則があるため、
打合せをしなくても、
どこの学校もだいたい同じ日程に
落ち着いてしまうのです。


最後に、地域との関わりという点で、
高校生が祭りに参画する
価値についても述べたいと思います。

以前私が勤務していた大野高校には、
8月のお盆中に行われる夏祭りに、
生徒全員が参加して
ナニャドヤラを踊るという伝統があります。

それは、地域主導で行う行事に
学校が関わるというスタンスです。

過疎地域の小さな村の学校
だからこそできる取組です。

全校が関わる行事なので、
夏休み中の一日を
生徒出向日にあてる形で
年間計画を組んでいました。

もし、花巻祭りも、
そういった全校参加行事であるならば、
万難を排して日程を組まなければなりません。

しかし、少なくとも現在は、そうではなく、
あくまで生徒の個人的な問題に
帰す形になっています。

私は、以前本校に勤務していた5年間、
テスト期間でも花巻祭りに
多くの生徒が出かけていました。

でもそれは「参加」というより、
夜店を友人と歩くといった、
憩いの時間と空間をともにするという形でした。

そもそも祭りとは
そういうものでもありますから、
私はそのことを否定しようとは全く思いません。

当時は、祭りの度に、
深夜徘徊、飲酒、占有離脱物横領などの案件で
何度も警察から連絡を受けましたが、
だからといって「祭りに行くな」などと、
「祭り」をスケープゴートにするようなことは
言いませんでした。

祭りに出かけるのは生徒の自由ですし、
テスト勉強で疲れた頭を
祭りで癒やすという方法だってあるわけですから。


今年度、地区PTAを地区を主体性の場に
という方向で進めていますが、
その活動の中で、
地域の生徒を祭りに活かす企画が
発案されれば面白いなあ
という思いも私は抱いております。

もし、保護者や生徒から、
花巻祭りにただ遊びに出かけるのではなく、
小学校のように、
生徒全員が参加するような
企画したいという意見がでれば、
それは大いに話し合う
価値があることだと思います。

もちろん、高校は様々な地域から
生徒が集まっているので
全体行事にすることは
難しいかもしれませんが。

生徒たちがどの様に
祭りと関わりたいと考えているか、
また保護者の皆さんは
生徒をどのように
祭りと関わらせたいと考えているのか、
私は知りたいです。

いずれにせよ、来年度は
花巻祭りと考査は
かぶらなかったのは幸運でした。

今年の9月は、ホットスプリングスから
花巻祭りにあわせて
かなりの訪問があるはずなので、
生徒を参画させるには
ちょうどいいタイミングだなあと
心の中で喜んでいるところです。

そして、まずは本校の先生方が
地域の中に入っていく、
いい機会になればと考えております。




 

至福の数学三昧日和

昨日は、黒橋の鉄人セミナー初日ということで、
3年生80人に講座を行いました。

内容はベクトルの基本のおさらい。
明日から本格的な演習です。

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素直で一生懸命な生徒達に囲まれ、
気持ちよく120分を終えることができました。

生徒たちには冒頭に話したことですが、
私はこうしてお膳立てしてもらった中で
六方踏んで気持ちよく
講座をさせてもらっているけれど、
これを日々行っている3年生の先生方は
本当に大変だと思います。
あらためて敬意を表したいと思います。


さて、この講座を終えて、校長室に戻ったら、
先日私に手紙をくれた数学大好き少女の
Kさんが訪ねてくれました。

2人でニコニコウキウキしながら、
しばらくの間、数学談議に
花を咲かせました。

Kさんは、数学の授業が楽しいこと、
数学の美しさ、考えることの楽しさ、
問題が解けたときの気持ちよさ、
自分が味わった爽快感を
他の人に伝えることの喜びについてなど、
目を輝かせながら話してくれました。

ただなかなかその思いを分かち合う人が
周囲にいないとのこと。
(わかりますわかります)

話しをしながら、昔、進学塾SEG代表の
古川昭夫先生が書かれていた
「教育理念」を思い出しました。

以下それを引用します。

私たちが目指すことは、
すでに皆さんの心の中にある
「数学を好きになる心」を育てることです。

そして、それこそが数学を得意になる
唯一の「王道」だと信じています。
それでは、どうすれば
「数学を好きになる心」を
育てることができるでしょうか? 

それには、数学が楽しいと思っている教師に
習うことがまず必要です。

数学が楽しいと自らが信じていて、
自らも楽しみ、その楽しみを
他の人と分かち合いたいと思っていて、
しかも、生徒がどんなところで
間違えやすいかをわかっていて、
注意深く教えてくれる教師に出会えば、
自然に誰だって
数学に興味がわいてくるものです。

その上で、数学の美しさ・
考えることの楽しさを
自分自身で体験することが欠かせません。

いくら感動的な絵を見ても、
自分で絵を描かない限り、
絵を描く技術は上達しません。

数学の技術も、
自分自身で手と頭を動かさない限り
伸ばすことはできません。

でも、好きなことなら、
そのために努力することは
苦痛ではないはずです。
(以下略)



Kさんには、
「博士の愛した数式」と
「数の悪魔」を貸しました。

「今度は『博士の愛した数式』の感想を
校長先生と語り合いたい」

と屈託なく話し、Kさんは校長室を後にしました。


そんなKさんと数学談議を楽しんだ後、
一人ホワイトボードに向かって
センター試験のちょっとしたポイントを
2つほど書いて遊びました。

【その1】集合の問題

マトリクス型の図を作れば
どんな問題でもどんと来いです。

s-20180116center-02.jpg

因みに2014年は、
4つの集合の問題が出ましたが
それも同様の図でできます。

カルノー図2014

尚詳しくはこちらにその記事があります。

センター試験集合について→★★

【その2】微積の問題

これもセンター試験定番。

s-20180116center-01.jpg

centerbiseki-02LT.jpg

centerbiseki-01L.jpg

「接線の一発式」、
「差の式」からの「まるごと積分」。
これで[1]は3分で終了です。

こんなことをやっていたら、
学校施錠の時間になっていて、
慌てて帰路につきました。


いやあなんという至福の数学日和。