ルイスキャロルとGEB

先日の土曜日は、
大野高校に岩手大学の齋藤博次先生と、
秋田淳子先生がいらっしゃり、
「高校生のための欧米の文学」
の講座が行われました。

欧米文学02


秋田先生によると、
洋野町と岩手大のコラボを
今後とも考えているとのこと。
大野高校も協力させていただきたいと思います。

今回の講座には、
1年から3年まで20人程の生徒と、
私を入れて5人の先生方が参加しました。

秋田先生は、ルイスキャロルの
「不思議の国のアリス」
を題材にあげられました。

ルイスキャロルは数学者でもあるので、
私はとても興味深く話を聴きました。

先生によると、
「不思議の国のアリス」を研究するには、
言語学的アプローチと、
精神分析的アプローチがあること、
そして、彼の生きた時代背景を
知ることが大切という話がありました。

精神分析的アプローチといえば、
ルイスキャロルの少女趣味的嗜好について
しばしば話題になるのですが、
私は彼の作品を、言語学的アプローチ、
特に論理学的な面から眺めていました。

「ゲーデル・エッシャー・バッハ」(GEB)という
「知のボスキャラ」ともいえる凄い本があります。

この本を読んだとき、私は何となく
ルイスキャロルのテイストを感じました。

クルト・ゲーデルといえば、
アインシュタインをして、
彼にはかなわないといわしめ、
神の存在をも証明した
天才数学者であります。

今調べたら、
ルイスキャロルは1832~1898年の人物で、
ゲーデルは1906年生まれなので
もしかしたら、ゲーデルは
ルイスキャロルの影響を受けていたのでは、
と思うのは私だけでしょうか。

秋田先生がいわれるように
「不思議の国のアリス」では、
同音異義語による言葉遊びが登場しますが、
「不思議の国の論理学」では、
まさに彼の面目躍如たる
言葉遊びが満載です。

その中で、昔私がハマったのが、
ダブレットというゲームです。

それは、与えられた英単語の1か所を変えて
別の単語をつくりながら、
もう一つの英単語に辿りつくという遊びです。

例えば、
「4(four)を5(five)に増やせ」
という問題は、

four→foul(臭い)→fool(馬鹿)
→foot(足)→fort(砦)→fore(前方の)
→fire(火)→five

と7手で到達します。

キャロルは、英単語は固有名詞を
使ってはならないことなど、
細かいルールの下、
その連鎖を最適(できるだけ少なく)
にすることとして、
50もの問題を出題しています。

例えば、
「麦(wheat)からパン(bread)をつくれ」(6手)
とか、
「貧乏(poor)を金持ち(rich)にせよ」(5手)
など。

ちなみに
「紅(ronge)を頬(cheek)に濡れ」は
キャロルの解答では何と16手かかるそうです。

皆さんもチャレンジしてみてください。

ルイスキャロルの「不思議の~」にしても
GEBにしても、
あるいはジェイムズジョイスの
フィネガンズウェイク
(ちゃんと読んでいないのですが^^)などにしても、
これを日本語に超訳する人は本当に凄いですね。

ちなみに、GEBは
野崎昭弘、はやしはじめ、柳瀬尚紀の
三氏が翻訳を担当し、
第22回日本翻訳大賞を受賞しています。

野崎先生は私の尊敬する数学者で、
GEBの数学に関わる部分を訳されています。

特に私が感心したのは、
バッハの回文的「蟹のカノン」
が紹介されている章で、
この楽譜とともに、「アキレスと亀の会話」と
「DNAの2重螺旋構造」と
「エッシャーの『蟹のカノン』の絵」の話が語られ、
そしてまとめとして間接的自己言及について、
そしてゲーデルの字形的数論へと
話題が進んでいきます。

この中の「アキレスと亀の会話」の訳が凄いのです。

少し紹介すると、

亀:いい日だな、アキ公。
アキレス:まったくだ。
亀:いいところであったよ。
アキレス:ぼくもそう思ったところさ。
・・・・・


という亀とアキレスの対話が
しばらく続くのですが、
その後、蟹が登場し口上を述べた後、
再び、亀とアキレスの対話が続き、
最後は、

・・・・・・・・・・・
亀:ぼくもそう思ったところさ。
アキレス:いいところであったよ。
亀:まったくだ。
アキレス:いい日だな、亀公。


と終わります。
つまり、長い会話の全体が
回文的な構造になっていて、
しかも意味が通っている!

まさに天才は天才を理解する。
野崎先生ならではです。

GEBは一読をお薦めします。

GEB.jpg



 

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