自然現象や社会現象に現れる一様倍変化法則

8月23日に名古屋、24日に横浜で行った
数学の授業から、対数方眼紙を用いた、
自然現象や社会現象に現れる
一様倍変化法則についての
授業を紹介します。

2日間とも、数学科教員だけに対する
授業ではなかったので、
できるだけ数式の計算などは回避して、
ALのエッセンス的な部分を強調しました。

最終的に、公民(政治・経済)との
コラボを見通した内容になっています。

では、その大雑把な内容を紹介します。

活動① グラフをかく
まず、本時の大きな目標を

「教科書の中だけにあると思っていた
数学やその定理を、
日常の中に見つけ、活用する」


と設定し、

「もし、皆さんがそういうイメージを
持てたとすれば成功、持てなかったら
すべてそれは私の責任」
と宣言してスタートしました。

では、最初の活動です。
1965年から1984年までの、
汎用コンピュータの実働台数と、
国民所得のデータを
グループ内で協力して作成し、
どのような傾向が見られるか
話し合い、考えてもらいます。

●データ
対数方眼紙授業データ

●作成されるグラフ
生のグラフ

対数授業写真03

このグラフからでは
傾向が際立って見えてきませんね。

活動② 常用対数の定義
対数という言葉が浸透されていなかったので、
最初に、
「対数とは、めっちゃ大きい数を
手頃で扱いやすい数に対応させること」
と大雑把に説明しました。

そして、ここでは、オウム貝のような、
動径が一様倍変化するシェーマによって
対数を定義することにしました。

対数授業オウムガイの図

taisu.png

上図のように、1回転すると
半径が10倍に一様倍変化する
対数螺旋を考えます。

半径が r のときの回転数を
log r
と定義します。

r=1 のときは0回転なので log1=0
r=10 のときは1回転なので log10=1
r=100 のときは2回転なので log100=2
ですね。

r=2 のときは、図から、
回転角がだいたい108°なので、
回転数は 108/360=0.30 回転。

つまり、log2≒0.30 と見ることができます。

同様に、r=3 のときは、
回転角がだいたい172°と読めるので、
回転数は 172/360≒0.48 回転です。

つまり、log3≒0.48 と見ることができます。

動径が、0.30回転したあと、
更に0.48回転すれば、動径は、
2倍して、それを3倍するのですから
6倍になりますね。

つまり、0.30+0.48=0.78回転で
動径は6倍になるということなので、

log6=log2+log3=0.78 が言えます。

ここが、「数学的な見方考え方」
の部分で、数学科以外の先生方には
少し難しかったかもしれません。

対数授業写真01

活動③ 対数方眼紙の利用
y=f(x)という関数が指数関数であるとき、
g(x)=logf(x) とすると、
g(x)は一次関数になります。
ということは、ある現象が
指数関数に従うかどうかを調べるには、
対数をとった関数が直線になっているかを
みればいいことがわかります。

このとき、最初からy軸の目盛を
対数目盛りに歪めたグラフを作っておけば、
常用対数をいちいち調べる必要はなくなります。

taisu-01.png

taisu-02.png

このような原理で作られた対数方眼紙に
先ほどのデータをプロットし、
グループで話し合います。

対数授業写真02


グラフは次のようになります。
taisu-03.png

両者とも1974年で傾きが変化する
折れ線になることが見て取れます。

グループでの話し合いから、
PCの実動台数も、国民所得も
指数関数に従った現象であることや、
1974年を境に成長率が低くなっていること、
つまり1974年に何かがあった、
ということが出されます。

対数方眼紙グラフ

活動④ 公民の先生との対話動画
最後に、大野高校の佐々木先生と
事前に共同で作っていた
動画を観てもらいます。(約5分)



彼の話の中から、
次のような学びを得て終わります。

オイルショックの全体図

<授業を終えて>
この授業の中心である
「国民総生産とコンピュータの実動台数」のネタは、
東大名誉教授で情報数理科学の
パイオニアである森口繁一先生(1916~2002)
から教わったものです。
数学セミナーにも掲載されたことがあります。

授業のポイントは3つあります。
一つは、対数法則を「オウム貝」の一様倍変化性
を使って定義したところです。
この方法を水源地にすることで、
対数の様々な規則が自明となります。
尚、この詳しい説明は、
拙著「つながる高校数学」(ベレ出版)
にあります。

二つ目は、対数方眼紙の効用についてです。
世の中には指数関数で表される現象が多いこと、
そして、対数方眼紙上では
指数関数が直線として表され、
その傾きが指数関数の底に対応している
ことがポイントです。

普通のグラフ用紙と対数方眼紙の
両方にグラフを描くことで、
対数方眼紙の良さが
実感できるのではないかと思います。

三つ目のポイントは、グラフから
社会情勢の変化を読み取る部分です。
1974年を境に、グラフは
折れ線になっていることがわかるので、
1974に何が起こったかの議論に進みます。

ここで、事前に、
本校の佐々木教諭との対話の動画を
準備しているので、
満を持してそれを観てもらいます。

オイルショック前後の一連の歴史は、
まさに現在の中東問題にもつながるので、
様々な授業に展開しうるのではないかと思います。


【授業の一言コメントより】(港北高校)
● 自然現象だけでなく、社会現象も
  数学で解析できるのですね。凄い。
● 社会現象を対数で考えることの
  発想は素晴らしい
● 数学の内容が実際の物事の中に出てくる、
  利用されていることを伝えることができる
● 扱うデータが実社会のもので興味深く、
  分析を社会科教員に協力してもらっていた!
● 対数って実生活と関係していることがわかった。
  世の中のことを知らないとだめね。
● 国民所得とPC台数など実生活の話題から
  対数グラフの良さを学んだ
● 社会現象が数学で表されることを
  生徒にグラフを描かせることによって
  気づかせるという部分が非常に面白い。
● 数学で対数は、計算操作ばかりに
  目がいってしまうけれども、
  社会経済の点で見ると、
  しっかり活用されているのがわかってよかった
● 数学を通して世の中の事象、
  自然現象などを解き明かす面白さ
● 数学的に表現されたグラフで
  オイルショックが現れたところがびっくりでした
● 生徒、生活に関連付けて授業を
  展開していくという点は良かった
● 今学んでいることが、
  現在何に使われているのか、
  将来どう関わる可能性があるのか
  わかるような気がする

● 対数法則を図で説明することで(オウム貝)
  理解しやすくしていた。
● オウム貝の模様をもとに
  対数の概要を興味深く説明
● 対数そのものの説明がわかりやすかった
● 対数(関数)の見方には他にもありますが、
  今回の回転する半径の角度で考えるのは
  初めて知りました
● 対数とは何かをとてもわかりやすく
  伝えてもらえた。
  高校生の時は理屈がわからず学んでいた。
  だからすぐに忘れてしまった。

● 伸び方の変化をつかむのに
  対数グラフは使えると思った。
● 社会に出たときに
  データ分析など大変役に立つ
● 対数グラフが折れ曲がるってことを
  気づく人がいるということに
  気づかされたことがよかった
● 指数関数が社会現象の
  ターニングポイントを示してくれたことに驚いた
● 通常のグラフと対数方眼紙とを対比
  することで指数の見方がわかり易くなった
● 物事は一つの視点ではないことがわかった

● 都市解析論の授業を久々に思い出しました
● 他教科との繋がりを意識している
  →学校全体のモチベーション
● 経済成長とPC台数の対数グラフを
  描くことで公民につながることが、
  教科を跨いだ取組事例としてわかりやすかった。
● 数学の時間に数学の学習内容を
  身近に感じられるような題材を利用し、
  かつ他の教科の学習内容を含むとは驚きです
● 一つの科目の中だけで留まらずに、
  他教科との横のつながりも考えていくと
  世界が広がっていき、数学が苦手な
  生徒にも興味を持たせることができる
● 社会の先生や他教員の解説や知識によって
  「なるほど」という気持ちになる
● いいね♪数学から他教科に広がるのは楽しい
● これから求められる教科横断型になっていること。
  様々な学びがある

 

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2015/ 09/ 25( 金) 15: 13: 17| | # [ 編集 ]
 

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