6寸勾配とタンジェント

以前、初任者研修の講義をしていたとき、
初任者(11人)に
次の問題をやってもらいました。

tan-01Lt.jpg
(ただしtan31°=0.6 とする)

全員が、次のように解答していました。
tan-02.png

別に、この解答に問題はないのですが、
私は三角比の値が、
1当たりの量を示していることを
もっと力説すべきではないかといつも思っています。

例えば、図のような、
底辺が4で高さが3の直角三角形から
tanθ=3/4 とイメージするのはいいけれど、
その逆はだめですよね。
sankakuLT.jpg

tanθ=3/4 となる直角三角形を
イメージするとすれば、
それは無数に存在します。
だから、その中から
底辺が1のものを抽出しておく
ということがポイントです。

sankaku2LT.jpg

でも、多くの教師は、
tanθ=3/4 という式から、
「底辺4高さ3の直角三角形」を
ユニークに対応させている
ような気がしてならないのです。

多くの教師の指導は、
三角比を次のようなイメージ図によって、
「直角三角形の辺の比」と定義し、
それで終結しているように思えます。

img114.jpg

だから、先ほどの問題の解答に戻ると、

「底辺がわかっていて、高さが不明、
ということはタンジェントを考えればよい。
そこで、h/25=tan31°という
『代数方程式』を作って、それを解けばよい」
という教え方をしているんですね。

それは、「その問題を解くこと」
を実現しているだけで、
タンジェントの本来の意味や、
三角関数を展望するような見方に
繋がっていかないと私は思うのです。

私がよく例にあげるのは、こんな問題です。

「同じキャラメルの箱があり、
5個入りで70円のものと、
12個入りで180円のものではどちらがお得か」

5個入りで70円ということは、
1個当たり14円、
12個入りで180円は1個当たり15円なので、
5個入り70円の方がオトクですね。

このように、1個あたりの値段を
調べることは自然な考えです。

では、更に、5個入り70円のキャラメルを、
バラにして23個買ったときの値段を考えましょう
(ばら売りしても1個当たりの値段は変わらないとする)。

これは、1個当たりが14円だったので、
14円/1個×23個=322円ということですね。

これを、70:5=x:23 という比例式から
代数方程式に持っていく解き方をするでしょうか。

でも、先ほどのタンジェントの解き方は、
まさにそのような方向で解いているのです。

代数方程式に持っていくのは、
意味を捨てるという一面もあります。

tan31°=0.6ということは、
1当たりが0.6なので、
h=0.6×25 
とすぐ考えるのは自然ですよね。

先日、2年生への講話を行った際、
かつて大野高校に勤務していたときに
経験したタンジェントの話をしました。

三角比の指導の問題意識は、
このときの経験から生まれたものであります。

ご覧いただき共感してくれる人がいれば嬉しいです。





 

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