パーコレーション(相転移)

「反転授業の研究」というグループを
ウェブ上に立ち上げて運営している
田原真人さんという方がいます。

彼は、まさに教育界の風雲児。
私は、彼なら、日本の教育を
変革できるのではないかと秘かに期待しつつ、
その発信にいつも注目しています。

実際、「反転授業の研究」は3000人近くの、
志が高く、行動力のある人が集まっていて、
情報交換、実践交流、
そして「学び」についての熱い議論が
繰り広げられています。
そして、そのうねりがどんどん
高まっているように感じられます。

私も、そのグループに入り、知見を広げ、
自分も行動していこうという
思いを持つようになりました。

さて、先日、複雑系の理論を通して
経済の仕組みを解明するという、
経済学者(かな?)ジェームズ・グラットフェルダー
の講演について、
田原さんが批判的に論評していた
記事を目にしました。

彼のコメントの一部を抜粋させていただきます。

<前略>
今の世界では「不合理」だという行動を
とっていくことで、システムを動かしている
ルールを変えていくことができる。
だから、内発的動機に基づいて、
損得を考えずに突っ走り、
それに共感する人が輪を広げていくところに
大きな可能性がある


私は、この言葉に感銘して、
次のようなコメントを書きました。

すべてのヒトが、
「常に自分だけ得をしようという気持ちで行動する」
モノと定義すれば複雑系を取り入れたとしても、
そこには一定の規則や法則が生まれ、
微分方程式による解析が登場し指数関数が現れる。
だからそのルールを変えるには
「内発的動機に基づいて、損得を考えずに突っ走り、
それに共感する人が輪を広げていく」ことが必要。
なるほど。これはまさに、閉塞する教育界における
「反転授業の研究」グループの存在ですね。


それに対して、田原さんは

ネットワーク構造を変えるためには、
相互作用のルールを変えていけばいいと思うんです。
例えば、奪い合う相互作用から、
与え合う相互作用に変化させたときに、
システム全体が別の構造に相転移するはずだと思っていて、
その経験を共有できたら、もっと自信と信念を持って
マインドセットを変えていけそうな気がするんです。


とリプライされました。


私は、そこで、「相転移」について
少し考えてみました。

ここから数学の話にガラリと変わりますね。

例えば、金属と絶縁体を混合した素材の、
組成を変えたとき、電気伝導率が
どう変化するかを考えます。

金属と、絶縁体の粒子がランダムに分布するとき、
そこに占める金属の割合pをパラメータとします。

ここで、pがある値より大きくなると、
素材は、電気伝導体に相転移されます。
このときのpの値を臨界点といいます。

この臨界点を求めるシミュレーションを、
エクセルを用いて行ってみました。

10×10のマスを準備します。
ここに、一定の割合で、ランダムに1を入れます。

このセルが金属(電動体)の粒子のモデルです。

パーコレーション03

上の図は、75個の1を配置したものです。

パーコレーション02
ここで、上図のように、1が入力された
赤いセルを隣接する辺を辿りながら、
上下と左右に横断できるとき、
この素材(薄膜)は
電気伝導体になったと定義します。

例えば、下図のような場合は、
赤いセルを辿って左右には横切れますが、
上下には繋がっていないので、
この場合は絶縁体と見ることにします。

パーコレーション04

ここで、金属の割合を、60個から1個ずつ変化させて、
それぞれ100回シミュレーションして、
伝導体になった回数をグラフにしてみました。

パーコレーション05

すると、75個を超えると、
100%伝導体になることがわかりました。

つまり、相転移する臨界点は
75%と考えられます。

では、この臨界点を、フラクタル的考えで
計算してみようと思います。

今、図のような正方形の薄膜が、
臨界点にあるとします。
そのときの割合をpとします。

パーコレーション06

ここで、この素材を1/2に縮小して、
それを4つ集めて被覆します。

正方形は2次元なので、
1/2に縮小したものを4つ集めれば、
自己再現されます。

蛇足ですが、
フラクタル図形として有名な
シェルピンスキのギャスケットは、
1/2に縮小したものを3つ集めて、
自分自身が再現されます。
この図形は、log23次元の図形となります。
このような縮小と被覆によって
定義される次元を相似性次元といいます。

パーコレーション08

さて、このように、正方形を4つ集めたとき、
この素材が、伝導体となるのは、
下図のように、すべてが臨界点か、
4つのうち3つが臨界点かのいずれかです。

パーコレーション07

この状態が、臨界点pになるので、
次のような方程式を立てることができます。

パーコレーション01


嬉しいことに、
シミュレーションの結果と一致しました!


学校に、学びを変革するイノベーターが
75%存在すると、学校は相転移する!

てなことではないのですが (^^);







 

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