オウム貝と学力

以前、1学年の担任をしたときの話です。
たまたまそのときの入学生の学力が、例年に比べ
とても低かったことがありました。
そのかわり、とても元気で、活発で、素直な生徒達でした。

中学校の先生達が、成績が悪いことに対して恐縮している中で、
私は、少し冗談めかしてこんなことを言いました。

「『将来伸びる可能性』を持つ生徒達を作ってきてくれてありがとうございます」

笑いをとってしまったのですが、でも、実は、この言葉には
「学び」の本質を示唆するものがあると私は思うのです。

 私たちは、模試にしても、今すぐの結果を求めて指導しがちです。
例えば、ドリルや鍛錬型の授業に走ること、大量の課題を与える、
補習を行う、など。

数学を「関数」を例にあげて論じると、このような指導は、
関数の値をできるだけ大きくしようという試みだと思います。

しかし、いくら関数の値を大きくしていっても、そのことで
彼らが疲弊してしまえば、彼らの「将来伸びる可能性」を
奪っていることにもなります。

「伸び率」が右肩下がりになるということは、
関数でいえば微分係数が負になるということですね。

つまり、学力を論じる場合、現時点での能力(関数の値)だけではなく、
おいかけていける力、つまり伸びる可能性を秘めている力(微分係数)
を育てることも大切だと思うのです。

では、伸びる可能性を秘めている生徒はどのような生徒であるか。
それは、意味もなく目先の解く技術を磨くことにむしろ疑問を持ち、
学ぶ価値があることは何かということを考えたり、
様々な物事に興味を持ったり、面白がったり、感動したり・・・

そういう蓄積が、将来の伸び率、つまり学び続ける力を
決定していくのではないかと思います。

友田勝久先生の作られたGrapesという優れたグラフ描画ソフト
でこんなことをしてみたことがあります。

oumu1

図のように,時計回りに30°回転するごとに3の1/12乗倍
になるような12本の動径を作ります.
つまり1回転すると3倍になるように動径が等比数列的に変化しています.

また,初期値の動径は自由に長さを変えたり,
好きなだけ回転できるようにします.
これにオウム貝の断面の写真を貼り付けます.

oumu2

何と!驚くことに,12本の動径がぴったりと重なります(図).
つまりオウム貝の中心からの半径は指数関数に従って変化している
ことがわかります.
オウム貝の成長曲線が指数関数的であることは,
偶然や神秘という言葉で片付けられるものではなく,
「瞬間の成長率はそれまでの蓄積量に比例する」という原理を,

y’=ky

という微分方程式にすることで導かれると考えられます.

オウム貝は、まるで私たちに何かを語っているかのようです。         


 

コメント

コメントの投稿

  • URL
  • コメント内容
  • password
  • 秘密
  • 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL: http://simomath.blog.fc2.com/tb.php/58-d449afcd