世界一長い英単語

10月8日・9日に仙台二高で
授業をさせていただきましたが、
実は、10年以上前にも、
仙台二高の3年生十数名(特進コース)
に授業を行ったことがあります。

彼らはバリバリの受験生ですが、
私の用意した教材は、受験に関係ない
フィボナッチ数列に関するものでした。

フィボナッチ数列とは、初項と第2項が1で、
前の2つの項の和で次の項が決定する
というルールで生成される数列です。
つまり、
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144・・・
ですね。

私は、この数列の隣り合う二項の比が
一定の値に近づくことから黄金比の話と、
最初の二項が互いに素ならば、
隣り合う二項は必ず互いに素になることから、
ユークリッドの互除法と
リュカテスト(素数の判定法)
の話をしようと思っていました。

授業の冒頭で、
「世界で一番長い英単語は?」
という発問をしました。
これは、花巻の生んだ詩人
宮沢賢治の有名な授業ネタです。

賢治先生はニコッと笑って
「それはsmileだよ。なぜなら
sとsの間が1mile(約1.6km)あるから」

と答えるというやつですね。

なぜ、このような話をしたかというと、
黄金比も1mileもともに約1.6という値なので、
掴みネタとしては面白いかな、と思ったのです。

この話をきっかけに、
「昔、『霧の8マイル』っていう曲があったけど
8マイルって何キロ?」
とか、
「野茂投手が89マイルのスピードの
球を投げた。時速何キロ?」
などと、
フィボナッチ数列の隣り合う二項に
注目させようと考えたのです。
(ちなみに、解答はフィボナッチ数列より
13kmと144km)

で、多分、生徒たちは、
smilesの話は知っているだろうと
思っていたので、
smilesと答えたならば、
それに対して
「実はbeleaguer(包囲する)の方が長いんだよ。
beとrの間が1league(約4.8km)あるから」
ということを目論んでいました。

ところがです。
一番前に座っていた1人の生徒が、
私の発問に対して、
「僕の知っているのは・・・」といって、
やおらノートに英単語を書き出したのでした。

Pneumonoultramicroscopicsilicovolcanokoniosis


「えっ。なんだこれ?」
「珪性肺塵症(けいせいはいじんしょう)
という病名です」

私は驚き、そして笑いました。

こんな楽しい生徒達のおかげで、
授業は気持ちよく進んで
気持ちよく終わりました。

授業後、彼らは全統模試を受験しなければ
ならなかったのですが、
しばらく私の周りに集まって、
授業についての感想を言い合ったり、
疑問に思ったことを次々に質問してきました。
模試にいかなくてもいいの?
と聞くと
「模試なんか受けなくてもいい」とのこと。

彼らの知的好奇心に
圧倒される思いをしたものです。

さて、話を先ほどの「珪性肺塵症」
の彼にもどしましょう。

私は、授業後、
彼のことをしばらく考えてしまいました。

「こんなくだらないことを覚えて何になる」
とあきれる人もいるでしょう。
「それが何の役に立つの?」
と憤慨する人もいるかもしれません。

それは正論かもしれません。
でも、それはミもフタもない正論だ。

私は、それより彼を純粋に
「すんげえ」と尊敬の念すら抱いた。

彼の、少年のような(事実少年ですが)
純粋な知的欲求というか、
ピュアなオタク心に
感動すら覚えたのでした。

仙台二高の生徒だから特別
このような知的好奇心が高いのでしょうか。

そうかもしれません。

しかし、どの生徒も知的好奇心は
持っているはずです。
(その知的好奇心は
模試の偏差値を上げるものでは
ないかもしれませんが)

私は、生徒の知的好奇心を喚起する
授業を目指そうということは
敢えていいません。

でも、生徒が自由に考えることを奪い、
知的好奇心をスポイルするような
授業をやってはいまいか、
と、いつでも立ち止まって
反省してみようという
心がけだけはしたいと思っています。


 

コメント

コメントの投稿

  • URL
  • コメント内容
  • password
  • 秘密
  • 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL: http://simomath.blog.fc2.com/tb.php/546-cd48d10b