福田君の質問から思ったこと

1か月ほど前の話に遡りますが、
本校で、ペルチェ素子の課題研究に取り組ん
でいた福田君という生徒から質問を受けました。

ペルチェ効果とは、2種類の金属を接合させて
電流を流すことで、熱エネルギーが発生する現象。

間違った解釈かもしれませんが、電圧の差によって、
エネルギーが生じるメカニズムは、何となく
「ベルヌーイの定理」を連想してしまいます。

ペルチェ素子は、冷却装置やエアコンなどに
応用されるとのことです。

彼らのグループは、身近にある素材で、
ペルチェ素子を実現しようという
意欲的な研究でした。

福田君の質問は、様々な金属を組み合わせて、
時間と、熱エネルギー(温度差)の関係をグラフ化
したとき、どの金属でも最初の数十秒の部分が、
無理関数に従うのではないか、ということでした。

perche1.png


私はそれが本当にそうなのかはわかりません。
恐らく違うとは思います。

でも、彼の着眼にはとても興味深く感じました。

自然現象を解析する一つの態度は

「現在の状況はどうか」
「このままいけば」
「将来はこのようになるだろう」

と考えることです。


これを数学的に述べると、
微分方程式を作って解曲線を求める
ということになります。

例えば、
ヤンキースの田中投手は
「現在は1勝しかしていない」
しかし、
「彼の勢い、伸びしろ」
を見ると
「今シーズンは20勝するだろう」
という文脈において

「現在は1勝しかしていない」は初期値です。

「勢い」「伸びしろ」「可能性」などという言葉は、
「その瞬間の伸び率」を表しているので、
これが「微分方程式」になるでしょう。

「20勝する」という見通しや結果が、
「微分方程式から得られた解」というカンジですね。

自然現象の中で非常に多いのは、
 
「yの伸び率が、現在のyの値に比例する」

というものです。

またまた、変な例を出します。

「現役生は受験当日の朝まで伸びる。ただし、
その伸び率は、それまでの蓄積量に比例する」


という言葉がよくいわれます。
これを微分方程式でいうと、
yの伸び率y’をdy/dx と書くと

diffe-eq1.png

と表すことができますね。

これを変数分離という手法で解いてみましょう。
diffe-eq2.png

指数関数になりました。
自然現象において、指数関数に従う現象が多いのは、

「yの伸び率が、yの値に比例する」

ということが、ある意味普遍的だからではないかと思います。

一例をあげましょう。
オウム貝の成長を調べてみます。
oum4.gif

図の黄色い動径は、30度ごとに、3の12分の1乗倍
になるように一様倍変化しています。
つまり、12回で動径が3倍になります。

何と!ぴったりとオウムガイに重なりました。

オウム貝の中心からの半径は指数関数に従っている
(限定的に見てですが)といえそうです。

つまり、殻が大きくなり大人になっていくと、
成長率もそれに比例して大きくなる
ということでしょう。
もちろん、成長しすぎると、別の問題が生じ、
伸び率を抑制する項が働くでしょうけど。

さて、
ここまで、福田君の話をうっちゃってしまいました。
福田君ごめんなさい。

彼の言った
「時間とエネルギーの関係が無理関数に従う」
という言葉をなぜ面白いかと思ったかというとですね。

「yの伸び率が、現在のyの値に反比例する」

という現象を考えてみましょう。
微分方程式で書くと次のようになります。
diffe-eq3.png

これを解いてみます。
diffe-eq4.png

無理関数が出てきましたね。

なので、無理関数で表される
(逆関数が二次関数で表されるといってもいい)
ということは、
値が大きくなるほど、伸び率が頭打ちに
なっていく現象を表している、一つの自然現象の
典型ではないかと思ったのでした。


福田君は、私のブログにあった
コラッツの予想にも挑戦してくれました。
ここには記しませんが、
彼の斬新なアイデアに感心したことを覚えています。

彼が質問した時は、2年生だったので、
まだ数Ⅲの微分を習っていませんでした。
3年生で本格的に微積分を勉強することで、
これまでの課題研究の意味づけができればと思います。

勢いで長くなってしまいました。

 

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