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「回転グリル暗号」

昨日の情報の授業で扱った
「回転グリル暗号」について
まとめてみたいと思います。

回転グリル暗号とは次のようなものです。

下図のように、4×4のマスの中に、
16個の文字が入っています。

回転グリル01

これが暗号です。

この解読の鍵は次の様な「グリル」です。

回転グリル02

これを暗号文に被せて、
①②③④の順に読みます。

次に、このグリルを右回りに
90度回転させ、暗号文に被せて
続きを読み込みます。

これをあと2回繰り返して
16文字を並べるという方法です。

やってみましょう。

回転グリル03

「しもまっ」ですね。

グリルを右に90度回転します。

回転グリル04

「ちのあな」

また右に90度回転します。

回転グリル05

「たとよる」

最後にまた右に90度回転します。

回転グリル06

「と数学と」

つまり暗号文を平文に戻すと、

「しもまっちのあなたとよると数学と」

でした。


では一つ問題。

キーを変えてみます。

回転グリル07


解読できますか。

答は

「WELCOMETOHANAKO」
(ようこそ花高へ)です。

昨日の授業で、この問題を提示したところ
瞬時に解答した生徒がいてびっくりでした。


私は生徒にこんな問題を投げかけてみました。

今、2つの鍵を示しましたが、
それ以外のパターンはあるでしょうか。
例えばパターンが
次のようなものだとどうでしょう。

回転グリル08

これは、同じ場所をダブって
読み込んでしまうのでまずいですね。

どうすれば違うパターンを作れるでしょうか。
また、パターンの総数は何通りでしょうか。


以下、私が考えたことを記します。

この暗号解読のキーは、
グリルを右に90度ずつ回すということですが、
これを、

「グリルを固定して暗号テーブルの方を
左に90度ずつ回して、
与えられたキーの番号順に読む」

としてもいいですよね。

今、16個のセルに番号をつけます。

回転グリル09

これらの数が、回転しながら
どこに移動していくか見てみましょう。

回転グリル10

分かりやすいように色付けしてみましょう。

回転グリル11


この図でわかるのは

A={1,13,16,4}
B={2,9,15,8}
C={3,5,14,12}
D={6,10,11,7}

という4つの数字の組は
同じ軌道を回っているということです。

4つの集合はいわば、
左回転という操作に対して、
巡回群になっているわけです。

あるいは、
1≡13≡16≡4 (mod 左90度回転)
というように同値類として
見ることができます。

ちなみに、4つの群の
それぞれの要素の和は
すべて34になっています。
この証明は高校生には
良い問題かもしれませんね。

さて、このように4つの数字の組が
巡回しているので、
A,B,C,D(赤黄緑青)から
1個ずつ要素を選べば、
必ず4回でもれなく16個のセルを
網羅することができることがわかります。

その組み合わせの総数は、4の4乗。
更にそこに①②③④の入れ方が
4!通りありますから
それを乗ずればいいですね。
(回転合同のものを除外するとすれば
4で割ればよい)


回転グリル暗号は、暗号としては
あまり役に立ちそうにありませんね。

だけど、数学の教材としては面白そうです。




 

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