「私の本棚 ~数学が大好きになるこの一冊~」

図書館前の「私の本棚」
第2弾も私が担当させていただきました。

今回は「数学が好きになるこの一冊」と題して、
私の本棚にある本から
とりあえず何冊かを持ってきて陳列しました。

数学本01LT

数学本02LT

数学本03LT

それぞれの本のキャプションは以下の通りです

●「数学用語と記号物語」
●「授業を楽しくする数学用語の由来」
 (片野善一郎)

「正弦はなぜsinか」
「関数はなぜfunctionなのか」など、
数学用語に関する話題が豊富です。

そして、その語源や歴史的流れを知ることで、
その本質に迫ることができる内容になっています。

授業での話題や、生徒の疑問に答えるためにも、
教師必携の本でもあるかもしれません。

●「博士の愛した数式」(小川洋子)
80分しか記憶が持たない数学者「博士」と、
「私」と「ルート」のピュアで、知的で、
そして切ない愛の物語。

博士の愛した数式はご存知
e^(πi)+1=0 ですが、
このストーリー全体のモチーフとして
「完全数」を中心とした数論の面白さが
取り上げられています。

生徒に読ませたいし、この本を使って
授業を展開するのも面白いですね。

尚、著者と藤原正彦氏の対談集
「世にも美しい数学入門」もお薦め。

●「天地明察」(冲方丁)
江戸時代の天文学者(であり
碁打ちで数学オタク)の渋川春海の
生涯を描いた時代小説。

春海が全国を測量し、
日本の新しい暦法を策定するまでの過程が
見事に描かれています。
関孝和などの和算家も登場しますが、
あらためて、江戸時代の
日本の優れた知性に感動を覚えます。

和算がらみの小説では
「算法少女」(遠藤寛子)もお薦め。

●「赤いぼうし」(美しい数学シリーズ)
(画:安野光雅 文:野崎昭弘)

安野画伯は日本を代表する絵本作家ですが、
数学・科学にも造詣が深いですね。

私は学生時代「数学セミナー」(日本評論社)に
連載していた氏の「算私語録」の大ファンでした。

絵本とはいっても、友人である
野崎昭弘氏という格別の数学者との共著なので、
実は組合せ論や論理に関する
堂々たる数学書でもあります。
巻末に大人向けの解説もついています。

尚、安野氏の絵本では、
「はじめてであうすうがくの絵本1~3」もお薦め。

日本にはこんなに凄い絵本があるのに、
眠ってしまっているのは本当にもったいないですね。

●「数の悪魔」(H.M.Enzensberger 訳:丘沢静也)
数学の本は売れるといっても
たかが知れていますね。
でも、10数年前にこの本の初版が出たとき、
一般の小説などを凌いで
空前のベストセラーとなったのです。

子ども向けに書かれていますが、
数学に落ちこぼれた大人達が、
この本で数学の面白さや楽しさに
目覚めたという声も多かったようです。

数学教師としては、著者の講演を記録した
「数学者は城の中」も読みたいところです。

●「虚数の情緒」(吉田武)
「虚数の情緒」は、表紙に
「中学生からの全方位独学法」とあるように、
中学生の知識があれば
独学で読み進められる構成になっています。

1000ページにも及ぶその内容は
とても深いのですが、
わかりやすい記述と興味をそそる豊富な内容で
読者をぐいぐい引きつけます。

吉田氏の著書では「オイラーの贈物」も名著です。
私は昔、数学科を志望する生徒にすすめていました。

●「数学とは何か」
(R.Courant H.E.Robbuns 訳:I.Stewart 森口繁一)

数学の様々な分野の基本概念が
系統的に書かれています。
数学というと「解析」「線形代数」など分野ごとに、
独立に勉強することが多いですね。
確かにその中で、専門性は磨かれるのでしょうが、
横断的に数学を見渡すことができない
という欠点もあります。

この本は、古典から現代までの数学グラフィティとして、
高いところから数学全体を鳥瞰する本です。

「数学とは何か」に対する
答の輪郭が見えてくるかもしれません。

●「The Mathematical Experience」
(P.J.Davis&R.Hersh)

格調が高く、高校生には難解で
読み進むのが大変かもしれません。
でも、数学とは何かという命題に対して、
正面から大上段に振りかぶって攻めてくる、
ある意味崇高な哲学書でもあります。

各セクションのテーマも詩的で、
文章表現も美しいです。

人気ミステリイ作家(大学の助教授でもある)
森博嗣氏の「笑わない数学者」にも
エピグラフとして引用されています。

「数学の精選話題」や「教授と学習」など
興味をそそる話題も多いですよ。

●「UniversaL PatternS」
 (Martha Boles & Rochelle Newman)
●「Image of Infinity」
 (Ray Hemmings & Dick Tahta)
●「The Surface Plane」
 (Martha Boles & Rochelle Newman)

この3冊は、1992年にカナダで行われた
ICME7(国際数学教育者会議)の会場で
購入したものです。

見ているだけでインスピレーションが湧いてくる、
数学とアートの魅力満載の書です。

●「数学スナップショット」(H.Stainhaus 訳:遠山啓)
この本の初版は1957年なので60年前ですね。
でも、その着眼のユニークさ、
数学の美しさを追求するセンスは
今でも色褪せていません。

例えば、「立ち上がる正12面体」は
私の得意の授業ネタですが、
ルーツはこの本にあります。

尚、訳者の遠山啓の「数学入門(上下)」は
教師にも生徒にも読んでほしい本ですね。


●「フラクタル音楽」(Martin Gardner)
学生の頃、ガードナーの「数学ゲーム」の本を
貪り読んだ時代がありました。

この書は、その「数学ゲーム」からの抜粋版です。
私は、この本に出てくる
「褐色音楽」の話題にヒントを得て、
ハノイの塔の音階を作り、
私のホームページのオープニング曲にしています。

また、盛岡三高の教員時代に
「30個の立体パズル」を作って生徒に出題したところ、
数学の成績が良くなかった女子3人が
奇跡的に解き、大喜びして私に完成したパズルを
持ってきてくれたことがありました。

彼の本との出会いは
自分が数学教育の世界に進むきっかけに
なったようにも思います。

私の目指したワクワク数学の授業の
原点といってもいいかもしれません。

●「「無限」の考察」(足立恒雄・絵:上村奈央)
誰もが「無限」について
考える時があると思います。

無限は神秘で、不思議で、
そして魅力的な概念ですね。

本書は、この「無限」というシロモノを
解析、幾何、集合の3つの数学的視点から
分かりやすく解説してくれます。

書店で立ち読みしたとき、
添えられた絵がとてもステキだったので
思わず買ってしまいました。

この本を読んで、
数学はやっぱりセンスオブアートが
大切だなあと思い、授業の中に
積極的に絵を取り入れようと思うようになりました。

●「アキレスとカメ」(吉永良正・絵:大高郁子)
「「無限」の考察」と同様の装丁、
どちらも講談社からの出版です。
この書は、ゼノンの4つのパラドクスを
図解入りで分かりやすく取り上げています。

それは単なる論理の遊びを越えて、
哲学の世界を展望する読み物になっています。

数学は問題を解く技能を競う学問ではなく、
世界はどうなっているかを読み解くために、
問いを立て続けていく営み、
つまり哲学と言えます。

高校生の時代に、
哲学としての数学を味わって欲しいと思い、
この本をピックアップしました。

●「フラットランド」(Edwin Abbott Abbott ・Ian Stewart)
●「2次元より平らな世界」(Ian Stewart 訳:青木薫)

「フラットランド」は1884年に敢行された科学書。
幾何学に関する数学書であり、
また物理学の古典であり、
また社会を風刺する小説でもあります。

原典を読んだことはないのですが、
2002年にイアンスチュアートの注釈によって
リメイクされたものをピックアップしました。

そしてその後、その「フラットランド」の発展版として
「フラッターランド(2次元より平らな世界)」が登場します。

いやあ、この「フラッターランド」の
面白いこと面白いこと。
一気に読んで、あまりに面白くて友人に貸したら
未だに返ってこないという。

次元というくくりで、数学の全体像を
とても楽しく提示してくれるオススメの書です。

●「見える数学1」(西三サークル)
この本は、「西三サークル」という
愛知県の高校教師を中心とした
数学サークルの面々が開発し、
実践した手作りの教材を集めたものです。

教具や図解などのシェーマは
数学の概念を「見える化」します。

そしてモノを使って楽しく学ぶことで
数学に対する親近感を抱くことができます。

西三サークルの先生方の、
「数学ってこんなに楽しいんだよ」っていう思いが
ビンビンと伝わってくる本ですね。

●「ディオニシウスの耳」(湯川薫)
SF(サイエンスフィクション)はよく耳にしますが、
今はMF(マセマティカル・フィクション)
という言葉もあります。

私はかつて、工学博士の森博嗣の
「すべてがFになる」「笑わない数学者」
などのシリーズにハマり、
シリーズの作品を全部読みました。

本書は、理学博士でもある湯川薫氏の
サイエンスミステリーです。

モーツアルト暗号と呼ばれる楽曲や、
回転楕円体のトリックなど、
数学、物理、音楽の話題が
散りばめられています。
彼の「虚数の眼」も面白いです。

●「数学の不思議」(Calvin C.Clawson)
数学の面白さの一つは、
誰もが取りかかれるようなシンプルな問いの中に、
美しく、不思議で、深くて神秘な世界が
横たわっているということではないかと思います。

この「数学の不思議」は、そんなシンプルで、
知的好奇心をくすぐる数学のトピックスが
たくさん散りばめられています。

そして、それを楽しく味わっているうちに、
数学の世界がどのように進化発展していったかの
概観をイメージすることができると思います。

●「数学と論理をめぐる不思議な冒険」
(Joseph Mazur)

「論理」「無限」「現実」という3つの章立てによって、
数学の歴史的な興味深い話題を取り上げ、
物語的な構成によって、
数学とは何かということに焦点を当てています。

そこに、数学とは
理系の研究者のための学問ではなく、
広く賢い市民になるための教養として
広めていこうという著者の思いを感じます。

●「つながる高校数学」
(野崎昭弘・何森仁・伊藤潤一・下町壽男)

すみません。ちゃっかり拙著を入れました。
従来の教科書の見方、切り口を少し変えて、
高校数学の全体像を見渡そうという思いで作った本です。

それぞれの単元に「エクスカーション」を入れて、
発展的な内容を展望するような構成になっています。


●「フーリエの冒険」(ヒッポファミリークラブ)
ヒッポファミリークラブ(言語交流研究所)のメンバー、
数学についてほぼ素人の集まりが、
フーリエ級数を「自分たちの言葉」で
理解していく過程を一冊にまとめたものです。

このシリーズには他に
「量子力学の冒険」「DNAの冒険」があります。

まさに知の冒険という趣です。
この本から、主体的で対話的な学びが、
楽しさとともに、限界を突破する
強靱さを持つことを感じました。

●「話題源数学」(編集代表:吉田稔・飯島忠)
高校や大学の先生方が、数学の様々分野における
面白そうな話題を綴った教材集です。

ほぼ1~2ページに1話題というコンセプトなので、
とても読みやすいです。
授業でのワンポイントとして使うのもよし、
時々パラパラとページをめくって、
興味ある表題を見つけて眺めてみるもよし、
自由研究のネタ探しに使うもよし、
数学好きには手元に置いておきたい本ですね。

●「ニャロメの面白数学教室」(赤塚不二夫)
この本は、私が以前、
花巻北高校に勤めていたとき、
生徒からもらったものです。

「先生好きそうだから」

といって渡してくれました。
これは赤塚不二夫が
たくさんの数学の書物を参考にし、
2年以上かけて大マジメに取り組んだ
200ページもの作品です。
赤塚不二夫氏のあとがきには
次のように書かれています。

「最初、ぼくは驚きの連続でした。
なにしろ、ただの計算だけの世界だと思っていたのが、
完全な間違いだったからです。
冷たく見える数式の裏側には、
ショッキングなドラマが隠されていました。
何十人、何百人の大天才たちの驚くべき発想!
ゼロの発見と、マイナスの発見。確率の面白さ。
微分・積分の神秘。
どれをとっても興味がつきません。

何でこんなに面白く、スリルに富んだ数学の世界を、
ぼくらの先生は教えてくれなかったんだろう。
数式を書き並べ、
計算方法を教えてくれるだけだった授業を、
こんなに呪ったことはありません。」


まだまだ紹介したい本はありますが
取りあえず今回はこんなところで。


 

コメント

「見える数学」についてすばらしいコメントをつけていただきありがとうございます。発刊してからだいぶ経ちましたが、執筆と編集ともにサークルの中での侃侃諤々のやり取りが思い出されます。サイクロイドや楕円を黒板に描くために手だけ登場してくれたA君が1年前に教育実習に来てくれたとき、当時本当に本に載るのか?と思ったそうです。西三サークルのHPのミニ通信欄にて紹介させていただきました。(事後承諾ですが)
2017/ 06/ 19( 月) 14: 22: 03| URL| HIROTA# 10.xuiI6[ 編集 ]
 

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