「教育相談室の飾りつけを見て感じたこと」

本校に「かがやきプラン」で
来ていただいている支援員のAさんは、
空き時間に秘かに切り絵を作って、
教育相談室の飾りつけをしてくださっています。

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自分が今やれることは何かを考え、
それをこのように
人知れず実行してくれているのです。

ささやかな行動ですが、
その心遣いがありがたいですね。


私たち高校の教員は、学力を向上させる、
進路目標を叶える、部活動で成果をあげる、
などというミッションを持っていて、
その実現のため、さまざまな取組を行っています。

その取組は、効果の最大化、
リスクの最小化を目指しながら、
紆余曲折を経て、太く強力なものになっていきます。

しかし、それが加速されていくと、
しばしば、「結果を出す」という大義名分によって、
過剰になり、影の部分も生み出します。

「学力向上」にしても「部活で成果を挙げる」ことも
正義であり正論です。

しかし、往々にして、その「正義」の名の下に、
効率性、画一性、一方向性によって
生徒を追い込むことが許されていきます。

しかも、そのような指導が
「やむを得ず」「一時的に」
行われるものではなく、
それを乗る超えることこそが、
能力を開花することだと目的化され、
指導の正当性を担保しようという、
ある種開き直り的現象にも
つながっていく面も否めません。

そうやって、人はその旗の下に集まり、
コンテンツはより強大化し、
それによって、立ち向かえる強者、
顔色をうかがって順応する者、
ドロップアウトする弱者の
三者に振り分けられているのが、
いわゆる進学校における
古くて新しい問題ではないかと思います。

さて、そんな中、
教育相談室の出入り口の
飾りつけをするということには、
そのような大義名分はありません。

「そんなことをやっても部活の成果があがるのか」
「学力向上に役立つのか」

と心の中で思う人もいるかもしれません。

だから、そのようなことをやる人は、
世の中にはめったにいないのですね。

確かに、○○のためにやる、
○○に役立つためにやる、
あるいは、上司に命令されたからやる、
自分の役割として与えられているからやる、
というのは一つ行動原理であり、
一見、筋の通った「正論」のようにも思えます。

でも、私はそこに、
どうしようもないミもフタもなさも感じます。

楷書の芸のようなストレートな正論。

真直ぐ過ぎてメマイがするぜ、ってね。

学校は成果をあげる場である、
という経済原則の視点で語られる度に、
私は、教育の成果や価値とは何なのかと、
どうしても立ち止まり、考え込んでしまいます。

もちろん、私は、進学実績や偏差値の向上といった、
数値で表される価値を高めていくことを
否定する者ではありません。

それは大切です。

しかし、同時に、やりたいからやる、
楽しいからやる、といった思いから出発する
教師や生徒の自発的活動にも
価値を見出だしたいと思うのです。

やらなくてもいいかもしれない仕事。
だからこそやる。
教育の価値はそこにあるのではないか。

むしろそのような行動にこそ、
私はクリエイティビティや主体性を感じるのです。

しかも、そのことは、
進学実績や偏差値を高めることと
二律背反ではないと私は思うのです。

学校が、価値を生みだす装置として研ぎ澄まされ、
機能していくことによって、
できるだけムダなことはしない、やらない、させない、
という学校文化が生まれるのではないか、
そして生徒や教師の創造性や芸術性、
主体性が損なわれるのではないか、
私はそのようなことを日々感じているので、
Aさんの切り絵装飾の活動が、
新鮮で感動的に目に映ったのかもしれません。

もちろん、Aさんの切り絵による装飾にだって
「学力を伸ばす」「部活で成果をあげる」ことと
無関係ではありません。

その理由を説明するのは、
野暮の極みかもしれませんが、
敢えて述べてみたいと思います。

それは、学校とは、
知識や技能を身につけるより前に、
子ども達の情緒を育む場であるからです。

そして、成果を挙げる前に、
他者への優しさを身につける
場所だからでもあります。

これが私の考えです。

こんなことをいうと、また
「センチメンタルな自己愛」などと
ささやかれるかもしれませんね。

でも私は、そんなレベルのことを
言っているのではありません。

情緒が育つことによって、気づきの感度が高まり、
それは本質を掴む力になるからです。

そして、自ら学ぶことへの原動力にもつながるのです。

そして、優しさを身に着けた人間は、
相手を高めることで自分の能力が
磨かれることを知っているからです。

そして、世の中の理不尽に立ち向かう
勇気を持つことにもなると思うのです。

これは、自分に打ち勝つ力にもなるのです。

私は、Aさんの、ささやかであるけれど、
自発的な活動から、
いろんなことを考えさせられました。

教育相談室が誰もが気軽に相談できる
部屋になることを祈りつつ。

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コメント

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2017/ 05/ 15( 月) 22: 09: 23| | # [ 編集 ]
 
コメントありがとうございます。様々な仕事がAIに代わられるといわれるこの時代、ますます、「勇気をいただきました」さんのような仕事が注目され、その価値が評価されていくのではないかと思います。これからのご活躍を応援しています!
2017/ 05/ 16( 火) 06: 05: 39| URL| しもまっち# -[ 編集 ]
 

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