「教え子に励まされる僥倖」

今年の1月の話しですが、
私のブログに、
盛岡三高時代の教え子のRさんから
コメントをいただいたことがありました。

そのコメントはこちら→★★
(下の方にあります)

Rさんは、私が盛岡三高で
初めて担任をしたときの生徒です。

Rさんのコメントの冒頭には
このように綴られています。

あの頃の三高は、大学進学命!で、
授業はどんどん進んでいくし、
朝から晩まで勉強漬けで。
詰め込みの毎日に
私は大好きだった勉強が苦痛で
仕方ありませんでした。
ほとんど記憶にも残らないぐらい辛かったです。


本当に、Rさんはじめ、当時の生徒には
申し訳ないことをしたと思っています。

今となっては、そんな学校を変革できなかった
私の力不足をただただ恥じるばかりです。

私が、盛岡三高に赴任した時、
1年の副担任でしたが、
3年生の演習の授業も
担当することになっていました。

その最初の時間のことは今でも覚えています。

前任の担当者から問題集を預かり、
最初の授業のスタートの問題を引き継ぎました。

初めての進学校だったので、
私は気合を入れて予習をしました。

そして、単に問題の解法をなぞるのはやめようと、
いろんな話題も用意し授業に臨みました。

で、授業が始まり、
最初の問題を板書したところ、生徒から、

「その問題ではありません」

との声が。

一瞬息がとまりました。

故意ではなかったとは思いますが、
全く違う場所を
前任者から指定されていたんですね。

それからが大変でした。

全く初見の問題(一橋大の確率)を
その場でやることになりました。

焦りました。

私を値踏みするような生徒の視線を感じます。

掌に汗がびっしょり。

気がつくと、その掌の汗の跡が
黒板に点々とついていました。

ああ。生き馬の目を抜く世界に
足を踏み入れたんだなあと思いました。

それでも、私は1年生の数学に
活路を見出していました。

「数学通信」をつくりだしました。

数学のトピックス記事、
教科書の問題を掘り下げる話題、
懸賞問題など、
生徒のモチベーションを
高めるような内容にしました。

全学年に配ろうとしましたが
数学科の教員に却下され、
最初は自分の担当クラスにだけ配りました。
(その後評判が良くなり
全学年に配布するようになる)

その「数学通信」を印刷していると、
しばしば数学科の先生が覗きにきます。

自分のクラスだけ成績が上がるような、
テスト対策のゲリラプリントを
作っているのではないかと勘繰られるのです。

「数学通信」だとわかると、
なあんだという顔をされます。

そして「暇だね」などといわれます。

ご丁寧に、
「そんなことやるとかえって成績が悪くなるよ」
と忠告されたときもありました。

そんなことをいわれながらもやり続けていけたのは、
私の授業を楽しんでくれる生徒たちがいたからです。

3年生の演習の最後の授業の後、
ある生徒から、こんなメッセージをもらいました。

生徒のメッセージ①LT

彼女は、家庭の事情で進学ができない生徒でした。

私はこの言葉に勇気づけられました。

また、Rさんのテストノートを見るのは
とても楽しみでした。

以前Rさんのノートはブログで紹介しています。

生徒のノートに勇気をもらう→★★

私が、現実と理想の狭間で
もがいていることを
敏感に察知してくれたRさんが、

私に手製のお菓子とともに、
そっとこんな手紙を書いてくれたこともありました。

生徒のメッセージ②LT


私は、生徒を育てていると思いながら、
実は生徒に育てられていたんだと、
今あらためて思います。

私の盛岡三高時代の宝物は、
そんな生徒達からもらったたくさんの手紙です。

自慢するわけではありませんが、
私くらいたくさんの手紙をもらった先生は
いなかったと思います。

そして、その内容はほぼ同じでした。

それは、「大学進学」を
錦の御旗に問答無用で行われる、
一方向のトレーニング型授業に対する悲鳴です。

そして、そのような中、
私の授業に出会ったことを
素直に喜んでくれるというものでした。

私が今、アクティブラーニングの機運を捉えて、
教師のマインドセットの変革を訴え続けているのは、
このときの生徒達の思いを
背負っているからだと思います。

さて、4月に入り、数日前、
Rさんからこんなメッセージをいただきました。

新年度がスタートし、
先生もさらに充実した日々を
お過ごしのことと思います。

私は今年度は五年生担任になりました。
明後日始業式です。
今から考えるだけでドキドキします!
私は今年度は、
明るく、笑顔いっぱいで毎日を過ごすことが
一番の目標です。

教師だって人間ですから、
気分が乗らない日もあると思います。

でも、それでも子どもたちの前で
笑っていられるようにしたいです。

単純なことですが、毎日続けるとなると、
今までの私には難しいことでした。

主体的、対話的な学びをしたいと思って、
本を読んだり、研究授業に参加することばかりに
目がいっていた気がします。

もしかしたら、根本的なことを
忘れていたのかなと気づきました。

思い起こしてみれば私も高学年ぐらいから、
大人の顔色伺っていました。

と、こんなところで、
今年度の決意をいってしまいました。

先生に負けないよう、私も精一杯頑張ります☆



理屈や理論ではない。
子ども達の前で毎日笑顔でいつづけることが一番。

Rさんのこのメッセージが届いたのは、
私が、新年度の学校経営で
職員をどうまとめているか悩んでいるときでした。

思うようにいかず、
眉間に皺を寄せている最中でした。

まさにこのメッセージは
そんな私に向けられているものだと気づきました。

なんというタイミングなのでしょう。

ああ。やっぱりまた私はRさんから力をいただいた。

さすが月の女神さんだ、と思いました。

教師と生徒は成長をともにする同志である。

そして、しばしば、生徒と教師は反転する。

教え子だったRさんは、
今、私と同じ教師として教壇に立ち

そして今もなお、
私を勇気づけてくれる存在です。

Rさんありがとうございます。



 

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2017/ 06/ 02( 金) 21: 58: 26| | # [ 編集 ]
 

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