「大学への数学への架け橋 重積分」

先日、大学への数学への架け橋として、
重積分に出てくるヤコビアンについて記しました。

やこびあ~ん

私が、8年前花巻北高校に勤めていた時にも、
大学初年級の数学の勉強をしていた
Sさんという生徒がいて、
ちょくちょく質問を受けていました。

ある日、彼女が重積分のこんな問題を持ってきました。

重積分01

そのときのやりとりの様子を
対話形式でまとめてみます。

S:この問題ですが、答えを見ても
 よくわからなかったんですけれど。

T:答えはどうなっていたの?

S:答えは次のようになっていました。  
 
重積分02

  なぜ急に1/nが出てくるのかとかが
  分からないのです。

T:なるほど。じゃあ少しじっくり考えてみましょう。   

  まず、  

  重積分03

  の意味を考えましょう。   

  これは、xy 平面上の領域 D 内の
  すべての点 (x , y) に対して、

  重積分04

  の値を計算して
  (それにdxdyという無限小幅をかけて)
  足しまくるというイメージです。   

  今、Dでは y>x なので、 z>0 です。

  すると、これは、
  曲面 z=f(x ,y) とxy平面で囲まれる
  部分の体積を求めていることになりますね。

  D内で (x , y) が変化すると z=f(x , y) がそれに
  ともなって決定します。

重積分05

  すると空間に曲面ができます。

  z>0 のとき、曲面と xy平面で
  囲まれた部分の体積は、
  dV=z dxdy (上の図の直方体)から

  重積分03

  となります。

  今、領域 D を xy平面上に図示すると、   
  図のようになります。

重積分06

  この領域内のすべての点にわたって

  重積分04

  を計算するためには、点を選ぶ順序を
  うまく決めなければならなりません。   

  君はパソコンでプログラミングができるよね。   

  例えばBASICで次のようなプログラムを
  考えてみましょう。

① for i=1 to 5   
② for j=1 to 3
③ y=i : x=j
④ next j
⑤ next i   

  このプログラムはどんな処理をしていると思う?

S: まず、 y=1 のとき x=1,2,3、
  y=2のとき x=1,2,3… 
  というカンジなので、

  結局 (x , y) の組は

  (1 , 1) , (2 , 1) , (3 , 1)
  (1 , 2) , (2 , 2) , (3 , 2)
  (1 , 3) , (2 , 3) , (3 , 3)
  (1 , 4) , (2 , 4) , (3 , 4)
  (1 , 5) , (2 , 5) , (3 , 5)
  
  という15個になります。

T:そうです。これがまさに重積分の考え方です。

S:なるほど、for i=1 to 5 は

  重積分07

  next i はdy に対応しているカンジですね。

T:そう。プログラムの②行目から④行目は
  いわばxで積分しているところなので、
  ここでは、yは定数となっていることに注意しましょう。
  
  さて、本題に戻りましょう。

  Dは、 0≦y≦1 , 0≦x<y

  なので、これをBASICのプログラミングで
  イメージすると

for y=0 to 1
for x=0 to y
S=f(x , y)+S
next x
next y


  つまり、図のような形で、D内の点を
  しらみつぶしに網羅していくわけですね。

  重積分08

  さて、そこでポイントです。   

  今、関数は

  重積分04

  だったので、これは y=x 上の点では定義されませんね。

S:あっそうか。分母が0になるんだ。

T:そうです。ですからこの積分は、
  2重積分の広義積分(仮性積分)なのです。   
  つまり、0の少し手前からスタートして、
  y=x の少し手前で終了する形にして、積分をして、
  その後、その微小部分を0に近づけるという作戦です。

S:だから 

  重積分09

  なんですね。

T:あとは普通の広義積分なので、
  計算すればいいだけです。

重積分10






 

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