「登米高校での講演で思ったこと」

11月25日に、宮城県登米高校で講演を行いました。
96年目を迎える伝統校です。

s-CIMG2503.jpg

s-CIMG2502.jpg

s-CIMG2499.jpg

和やかな雰囲気の中、皆さんとても真摯で、
気持ちよくお話をさせていただきました。

s-CIMG2500.jpg

近隣の5つの高校からも参加者があったのですが、
嬉しかったのは、志津川高校から、
私が12年前に花巻北高校に勤務していたときに
担任していた木村君が駆けつけてくれたことです。

s-CIMG2501.jpg

この年、私は総合的な学習の担当で、
生徒の課題研究活動を企画し実施していました。

木村君は、「ビンゴゲームにおける確率の研究」を
もう一人の仲間とともに行い、
見事最優秀発表に輝いたことを覚えています。

彼らの研究協力者は岩手大学の沼田教授で、
何度か本校に足を運んで、
彼らに、様々なヒントを与えていただいたことが
懐かしく思い出されます。

かつての教え子が、自分と同じフィールドで
活躍する姿を見ることは嬉しい限りです。


さて、この講演の際、寄せられた
いくつかの質問を聞きながら感じたことがあります。

それは、このようなアクティブラーニング研修会に
参加される先生方の問題意識が
いつも「どうすれば授業がうまくいくか」
という方向であるということです。

そこに感じる教師のメンタリティは、

「教師の強い教科指導力と
適切なコントロールで授業を創りだす」

といった、教師主導型の授業観です。

しかし、それが

「生徒との対話によって授業が変化することを恐れる」
「予定調和が崩れることを恐れ
生徒主体の展開に踏み出せない」

という学習パラダイムへの移行を
阻んでいるのではないかとも私は思うのです。


少し古い話ですが、2010年に出版された
「<新しい能力>は教育を変えるか」(松下佳代編著)の巻末に、
ナラティブ教育の推進者である、
フィンランドのオウル大学のペンティ・ハッカライネン氏が
特別寄稿を寄せています。

フィンランドというと、
世界的にも優れた教育システムを持つとされ、
日本でもそれを見習おうという動きもみられます。

しかし、ハッカライネン氏は、フィンランドでは
義務教育以降から始められる実力主義教育によって、
多くの学生(特に大量の課題をこなせない男子)が
ドロップアウトしていく現状も指摘しています。

彼は、フィンランドにおける
PISA調査の正答率の高さに反して、
学ぶ動機づけ調査の低迷について次のように述べています。


同一の要因によって、3つの教科に見られた好結果と
動機づけの低さの両方が説明できるのである。

つまり、指導(教師の個人指導、教科書や教材)における
厳しいコントロールや大量のアサインメントが、
PISA調査の課題を解く準備になり、
しかしまた、教師の厳しいコントロールが
学校の勉強を楽しく学ぶという純粋な動機づけを
奪っているということである。

動機づけの欠如は、義務教育の第9学年終了後、
教育からのドロップアウトという形で現れる。

「アサインメント」によるトレーニングは続けられ、
そこでは、過去の大学入学資格試験から取った
アサインメントがトレーニングのために使われている。

このようにフィンランドの結果は、
カリキュラム・ガイドラインの目標よりもむしろ、
学習教材や学校での課業の編成の方を反映している。

ここから次のような問いが浮かんでくる。



彼は次の様に結んでいます。


学校の評価の目的は何か。

私たちは指導の結果を測定すべきか、
それとも将来的な可能性を評価すべきか。

入手可能なデータから得られた一般的な結論は、
多くの教師はよい授業者ではあるが、
おそらく創造的な才能の促進者ではない
ということである(Lyytinen, 2009)。

(「<新しい能力>は教育を変えるか」
(松下佳代)より 傍線付記)


私は、アクティブラーニングの研修会や
講演会での質問に出会うたびに、
多くの教師の「自分の授業を何とかしたい」
という強い思いを感じます。

それは、
「よき授業者でありたい」
ということに教師としてのアイデンティティを
求めているのではないかと思います。

しかし、今、教師が持つべき思いは、むしろ

「生徒の創造的な才能を促進したい」

ということではないかと私は感じるのです。










 

コメント

コメントの投稿

  • URL
  • コメント内容
  • password
  • 秘密
  • 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL: http://simomath.blog.fc2.com/tb.php/1333-ca485044