「あなたと夜と数学と」開催

昨日は(もう一昨日になってしまいました)、
大井町の「きゅりあん」で、
「あなたと夜と数学と」のイベントを、
午後の部、夜の部の二部構成で
行わせていただきました。

きゅりあん画像齋藤02LT

きゅりあん画像齋藤03LT

きゅりあん画像齋藤01LT
(写真は齋藤みずほ先生のFBサイトからいただきました)


午後、夜の両方参加された方もいらっしゃったので、
内容を変えて、併せて約8時間にわたる
セッションになりました。

不思議ですね。

数学の話題になると、
何時間でも楽しく話をすることができます。

高校の数学の先生、情報の先生、大学の先生、
大学院生、民間企業の方、起業家、
小学生と彼のお母さんなど、
参加メンバーは多彩でしたが、
皆さん数学を楽しもうという気持ちが強い方ばかりでした。

そんな皆さんのおかげで、
澄み切って透明な対話空間が生まれ、
素敵な時間が流れていったような気がしました。

参加された皆さんありがとうございました。

さて、夜の部の最後に、
「賢い市民になるために」というテーマで、
次のような問いを取り上げました。

きゅりあん画像06

実際に、フェルトボールを使って実験したところ、
8組中3組が2個ずつに分けていました。

つまり、割合は3/8ですね。

さて、この問題の答はどうなるのでしょうか。

標本空間を

(0,4)(1,3)(2,2)(3,1)(4,0)

とすれば、(2,2)になる場合は、
5つのうちの1つなので
求める確率は1/5となります。

しかし、一方、フェルトボール1個ずつに対して、
Aさんが持つかBさんが持つかを
1/2の確率で決めていくと考えれば、
(2,2)の選び方は

4C2=6通りで、

それぞれの確率は
(1/2)^4=1/16なので、
求める確率は6/16=3/8ですね。

(以下参照)

①②・③④・・・1/16
①③・②④・・・1/16
①④・②③・・・1/16
②③・①④・・・1/16
②④・①③・・・1/16
③④・①②・・・1/16

さて、では1/5と3/8は
どちらが「正解」なのでしょう。

実験結果では3/8になりましたが、
それを正解としてよいのでしょうか。


ここで、皆さんとの話の中で導かれた結論は、
「どちらも正解とは言えない」ということでした。

つまり、「どのような決め方で分配したか」
によってその確率は変化するのです。

例えば、(0,4)(1,3)(2,2)(3,1)(4,0)の
5つのパターンを頭に描いて、
それらから
「どれを選ぶかを平等に(同様に確からしく)」
選ぶという行為によって分配すれば、
確率は1/5といえるでしょうし、

しかし、1個ずつ、ジャンケンでもしながら
どちらが持つかを決めていけば、
その確率は3/8になると考えられます。

そうです。

数学は「答えは一つ」ではなかったのです。

問題は、「どういう条件の下で」試行するのか、
「何を標本空間として捉えるか」
「何が同様に確からしいとみるか」
によって、答は変化するのです。

だからこれは、数学というより
心理の問題でもあるのかもしれませんね。

そうすると、このことは、
前提条件の決め方によって
結論をコントロールすることにも繋がります。

その流れで、この後、オックスフォード大の
マイケルオズボーン氏らの
「未来雇用(THE FUTURE OF EMPLOYMENT)」
についての話を取り上げました。

「今後10年から20年程で、約47%の仕事が
自動化される可能性が高い」


というアレです。


この話は、いろんな人が
新しい働き方について述べる時に、
引き合いに出すようになって久しいので、
今や耳にタコではあるかと思います。

因みに、これと並んで、
いまだによく出てくる話は次のものですね。

「子どもたちの65%は大学卒業後、
今は存在していない職業に就く」
(キャッシー・デビットソン)


「2030年までには、週15時間程度働けば
済むようになる」(ジョン・メイナード・ケインズ)



さて、巷で、当然の事実であるかのように

「今後、約47%の仕事がAIにとって代わられる」

とささやかれているわけですが、
それを真実とする根拠は何でしょうか。

彼がオックスフォード大という
権威に属しているからでしょうか。

そもそも、この話を語る人たちは
彼らの論文を読んだことがあるのでしょうか。

以前私は、彼らの発表に興味を持ち、
彼らの論文を読んだことがありました。

すると、それは、AI(人工知能)が
追いつけない知性について3つの指標を選び、
それに照らし合わせて702の職業に対して、
ソーティングをしたものに
過ぎないものだとわかりました。

その指標とは以下に示すものです。

オズボーン01

Perception and Manipulation task(手先の器用さなど)
Creative Intelligence task(創造的知性)
Social Intelligence task (社会的知性)

このような、AIが追いつけないような
仕事特性を3つに大きく分類し、その視点で、
職業のランキング表を作ったというわけです。

そのランキングの一部を抜粋したのが下の図です。

オズボーン02

消えてしまう職業は、
操作や技能一辺倒のものが多いようですね。
「マスマティカルテクニッシャン」が
消えてしまうのは気になりますね。

そういえば、今回の会に参加された沼崎先生に
「ウルフラムα」というサイトの
紹介もしていただきました。

これは、数学の高度な計算やグラフィクスなど
全部自動計算してしまう優れもののソフトウェアです。

これを手元に置いて数学の授業を行うとすれば、
従来の、公式や解法テクニックを教える先生は
いらなくなるかもしれませんね。

話しを戻して、今度は残る確率の高い
職業を見てみましょう。

「リクレーションセラピスト」
「ダイエッティティシャン」
「インストラクショナルコーディネーター」など、
人間の心理や態度、人生について
コンサルする職業が多いように思います。

でも、それって、当然だと思いませんか。

元々、彼は「創造的知性」「社会的知性」などの
要素を数量化し序列化するという「前提」で
この分類を行っているわけですからね。

だから、彼によって導かれた結論は、
あくまで彼の前提の下のものであることに
注意しなければなりません。

さて、私は、今回の、この活動を通して
言いたかったことは2つあります。

一つは、フェルトボールの確率の問題同様、
最初の前提、条件設定の仕方次第で、
結論は如何様にも変わるものであること。

だから、そこで出た結論に「なぜ?」を唱えることなく
「○○なんだってよ」と
付和雷同しない方がいいということです。

それは、しばしばマイノリティに対するバッシングや、
権威への盲従になってしまう可能性があるからです。

ですから、つねに「なぜ?」を唱え、
批判的に見つめようという、
数学的態度が私たちには
必要ではないかということです。

もう一点は、マイケルオズボーンの視点です。
彼は、最初から「知識や技能を機械的に、
一方的に教えることでは道がなくなる」
ということを警鐘しようとしていたのではないか
と私は思うのです。

そして、これからの仕事は、
創造的知性や社会的知性などが
必要になるということを、
世界に示そうとしてこのような研究発表を
したのではないかとも思うのです。

うがちすぎかもしれませんが。

そういう意味で、
「47%がなくなる」という
ショッキングなキャッチフレーズが踊ることは、
創造的知性・社会的知性の必要性を説いていくには
十分に効果的であると思うのです。


さて、オズボーン氏の
消えない職業のリストを見ながら、
今回、このようなイベントを企画され、
私の背中を押してくださった
キャリアクエストの齋藤 みずほ先生のことを
思い出しました。

みずほ先生には、この会のプランニングの
一切を行っていただきました。

スカイプカウンセリングで私の思いを吸い上げ、
FBを効果的に使い、
集客や事前の学びの場をつくるなど、
様々な取組を企画され、
ブランディングしていただきました。

優れたコーディネーターとは、
企画力・判断力・決断力と、
「つなぐ力」を持った人物なのだと思います。

そして、その根底に、人をもてなす心遣いや、
他者をエンパワーする思いがあることが、
まさにオズボーン氏が指摘する、
AIと共存しつつ、未来をリードしていく
プロフェッショナルなのでしょう。

そう。それは、まさに、みずほ先生のように。

きゅりあん画像齋藤05LT

きゅりあん画像齋藤04LT



 

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