「ハードルの少し上を飛ぶ」から思ったこと

早稲田大学の向後千春先生のブログ

「KogoLab Research & Review
~遊ぶように生きる~」

の4月26日の記事に、
とても示唆に富む絵が描かれていました。

task-01LT.jpg


記事はここ⇒★★

向後先生は、その絵に、
次のような言葉を添えています。

どんな課題であろうと、
それを最小限の努力で
「切り抜けよう」という態度でやれば、
何も学ばないだろう。

そうではなく、
なぜその課題が目の前にあるのか
ということを想像して、
その「少し上を跳ぼう」
という姿勢を取れば、
より遠くに着地することができる。

毎回、毎回、少しだけ遠くに
着地することができれば、
積もり積もって
あなたは遥か先に
進むことができるだろう。


なるほど。納得。

私は、この絵を見ながら、
教育現場における授業について
イメージしてみました。

task-02LT.jpg

上の図は、生徒の側の
「できるだけ苦労したくない」という思いと、
教師の側の「授業を成り立たせたい」
という思いが一致した授業のイメージです。

「これはテストに出るから」
「テストで赤点をとらないように」などが、
ほぼ唯一のモチベーションであるような
授業が展開されます。

これでは生徒を遠くに着地させることはできません。

task-04LT.jpg

この図は、入試などをターゲットにした
鍛錬型授業のイメージです。

教師は、タスクの量を増やすことで
力をつけようとします。

しかし、単純にタスクを積み上げるだけでは、
「それを乗り越える」(=その場を凌ぐ)
ことだけが目的化してしまい、
たとえ乗り越えたとしても、
遠くに着地することはできませんね。

時に意欲を失ったり、挫折を繰り返し
落ちこぼれが生まれることもあります。

また、このようにして得た知識は、
他に転移し、広く活用していくものには
なりにくいとも思われます。

task-03LT.jpg

大切なことは、生徒にどのような力を
身につけさせたいか
(=どこに着地させるか)を明確にして、
そのために、生徒の想像力をかきたてる
授業をどうデザインするかという、
逆向きの思考ではないかと思います。


task-05LT.jpg


この図は、教師が生徒に授業を通して
つけたい力を意識し、
そこに着地させるような意識づけや、
授業デザインを組み立てることを示しています。

例えば、教師は、
その単元の先にある
「面白さ」「社会での活用」「他との繋がり」
などを垣間見せます。
そして、生徒に「少し上を飛ぼう」
という意欲や関心を喚起させます。

また、時に、そこに向かうために
仲間と協働する場面を作ります。

そうやって、
生徒を遠くに着地させることを目指すのです。


教師の仕事は、生徒の負のニーズに
迎合してハードルを下げることではない。

逆に、タスクを上乗せして、
そこを乗り越えさせるために
生徒を引っ張り上げることでもない。

タスクの先にあるものを見据えて、
生徒の想像力を掻き立てること。

つまり、頂点の位置を
右に少しだけずらすような
仕事をすることではないかと思います。

だとすると、そこで教師に問われる力量は、
教材のつながりや広がりを含めた分析力と、
生徒を飛ばせるために授業をどう構成し、
仕掛けを行うかという
コーディネート力なのかもしれません。

※ 上の図に登場する動物たちの絵は
  数学教育協議会委員長で、
  盛岡白百合学園の講師である
  伊藤潤一先生がつくったキャラクターです。



 

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