あなたと宮澤賢治とハピネスと

本日の卒業式にあわせて、
大野高校新聞第96号ができあがりました。

B4裏表2ページですが、
この新聞は印刷業者に頼んだものではなく、
すべて手作りなんです。

sinbun01.jpg

sinbun02.jpg

sinbun03.jpg



素晴らしいでしょう。

お金をかけないで、自分たちで工夫して
良いものを作るというのが
大野高校のコンセプト。

担当の菊池先生はじめ新聞委員会の皆さん
ありがとうございます。

内容は、大野高祭、収穫祭、芸術鑑賞、修学旅行、
ウィンターセッション、ユネスコ交流学習会などの
各種イベントの記事、
卒業を控えた3年生のコメント、部活動の振り返り、
更に、大野歌壇(短歌)のコーナーなど、
盛りだくさんで、読み応えがあります。

さて、その大野高校新聞の一面は
「HAPPY NEWS」という特集でした。
私も、このテーマで原稿を依頼されました。

以下に、私の書いた内容を
掲載しておきたいと思います。


あなたと 宮沢賢治と「ハピネス」と
(You and Kenji Miyazawa and happiness)

HAPPY NEWSが今回のテーマということなので、
「幸せ」について書いてみたい。
振り返ると、私はずいぶん「幸せ」の話をしてきたように思う。 

夏の始業式では「幸せは、降ってくる出来事ではなく、
自ら創りだすもの、つまり自らの気持ち次第である」

そして、幸せになるには
「一人で自分に向き合うだけでなく、
共に歩んでくれる仲間とのつながりを深めること」
という話をした。
「仲間とのつながり」とは、
単に仲の良い友達と交流を深め、
協力し合うということではなく、
もっと積極的に、様々な考え方に耳を傾け、
他者との良い関係を広げていくということだ。

人は他者と共にあるとき、より賢くなり、
より強くなり、より多くの幸せを実感できる。

そして、冬の始業式ではこんな話をした。

「辛い時、悲しい時、一番力になったのは、
素直で直向に頑張る大野高生の笑顔や、
日々の挨拶に触れたときでした。
『お疲れ様です』の言葉には、
人を幸せにする魔法の力があります。」

自分ができるささやかな一歩が、
実は、人を幸せにするだけではなく、
自分の行動を変え、習慣を変え、
人生をも変えていく力にもなり得る
ということを、ここでも述べておきたい。

さて、8月に岩手で開催された
全国高校PTA連合会のメインテーマは
「未来圏からの風をつかめ!」だった。

これは、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」
という詩の中に出てくる、
「諸君の未来圏から吹いてくる
透明な清潔な風」のくだりのオマージュだ。

賢治の言葉には、我々が生きていく中で、
いつも心に携えておかなければならない
「何か」がある。

私が大好きなのは、
「注文の多い料理店」の序文だ。

「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、
きれいにすきとおった風を食べ、
桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
またわたくしは、はたけや森の中で、
ひどいぼろぼろのきものが、
いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、
宝石いりのきものに、
かわっているのをたびたび見ました。(以下略)」


自然を愛し、自然とともに生き、
日常の小さな一コマにこそ幸せを見出すこと。

そして、物質で満たされる豊かさより、
心の豊かさを求めること。

私たち岩手県民は「心にいつも賢治先生」
を持って生きていきたいものである。

その一方、

「世界がぜんたい幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ない」

で有名な「農民芸術概論綱要」では、
世界の幸福を希求する
賢治の揺ぎなく力強い姿に心が打たれる。

人はみな芸術家の感性を持ち、
そこから農村の創生を働きかけようとする
賢治の言葉に、
私は、かつて大野村で興った
「一人一芸の里」運動にも
通じるものがあると感じた。

これは、当時大野村を訪れた
東北工業大学の秋岡芳夫教授が、
大工として出稼ぎが多いこの地に、
木工製作という「芸術」を中心とした
「一人一芸の里」という新しい町づくりを提唱し、
村人のアイデンティティを築いたというものだ。

「世界がぜんたい幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ない」は、
世界が幸せになることを座して待つことではない。

すべての人々が持つ芸術的感性と、
知識や技術を仲間とともに深め合うことによって、
コミュニティ全体の幸せを追求することと私は考える。
 
大野高生も、学校で学んだ知識を
「世界ぜんたいの幸福」を考えるための
「活用される知恵」に換えて、
地域に貢献できる人に育って欲しい。



 

コメント

コメントの投稿

  • URL
  • コメント内容
  • password
  • 秘密
  • 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL: http://simomath.blog.fc2.com/tb.php/1108-86d1127f