群数列について②

では、群数列の話題の2回目です。

その前に少し前置きをしたいと思います。

最近大野の方から、
地域存続ための取組みとして
「東大やハーバード大を目指す生徒をつくる」
という声があがっています。

それはいいのですが、
もし、それを実現するのであれば、
中高で何かを始める前に、
もっと幼少の段階の子どもたちに
働きかけていかなければなりませんね。

しかし、幼少時からスペシャルメニューを与え、
徹底ドリルによってたたき上げる、
などという発想では
うまくいかないと私は思います。

そんな「注入志向」では
先に子どもがつぶれてしまうからです。

もっと、彼らの知的好奇心を耕し、
彼らの中に眠っているすぐれた能力を発見し、
それを自らが磨いていくための
手助けをすることが
必要なのではないかと思います。

まあ、それは東大やハーバードのため
ということだけではないわけですが。

そんなことを考えていたら、
算数パフォーマーの上野真弓さん
という方を思い出しました。

上野さんは、ご自身の話によると、
北九州の自宅で、駄菓子屋みたいな
「さんすう屋」をしているとのことですが、

フェルトボールなどのモノを用いて、
全国の子ども達(時には大人も)に
算数の面白さや奥深さに気づかせ、
学び続ける子どもたちを育んでいる
非常にアクティブで志の高い方です。

そんな彼女の視点は
「遊び」の中にこそ深い学びがあるということ。

更にいうと、フェルトボールを地域の大人が作り、
地域の子どもたちが、それを使って
遊んだり学んだりするという、
地域に学びの場を創ることも目的としています。

彼女の言葉によると、
それを「地創地学」というのだそうです。

なるほど学びの「地産地消」というわけですね。

そして、上野さんご自身のお子さんも
そのような経験をさせながら東大に進まれています。

さて、ここから群数列の話になるわけですが、
テーマは、ここで取り上げる問題を
子どもたちに考えさせたらどうなるだろうということです。

私は、上野さんが作成された動画で、
子どもたちがフェルトボールで遊びながら、
類推したり規則を発見したりする様子を拝見しながら、

彼らに、これから取り上げる問題を
フェルトボールを使って考えさせれば
どんなことが起きるのだろうかと思いました。



では問題です。


第n群にnがn個並ぶような群数列を考える。  
1|22|333|4444|55555|・・・・・・・・
このとき、65番目の数は何群の何番目か。
また65番目までの総和を求めよ。


これは、前任校で、期末考査前に
群数列の問題がわからないといって、
こぞって職員室に質問に来た生徒たちと
ある先生との会話から
ピックアップした問題です。

下の写真は、その先生が、
質問に来た生徒にホワイトボードで解説したものです。

gun2-01.jpg

その先生によると、「群数列」を見たら、
必ず図のような4次元表をつくることを力説して
説明されていました。

でも、生徒たちは、先生の解説に
あまり納得していないようでした。

私がその光景を見て思ったのは、
なぜ多くの先生は簡単なことを難しく教える方向で
指導するのだろうということです。

きつい言い方ですが、写真のような解法で指導しても、
生徒には納得感や成就感が
生まれるとは思えません。

なぜなら、これは
「一つの解法の記述の理解」という指導にすぎず、
決して解を得るために探究していく
方向での指導ではないからです。

確かに数学の良さの一つは、
公式化や解法のパッケージ化をすることです。

そうすることで、意味、概念や、
もっといえば考えることさえも放棄して、
「手で解く」ことができるということです。

しかし、最初からそのような便利な手順を用意して
それをなぞるような指導をすることは
本末転倒であり、
深い学びに到達することはできないでしょう。

センター試験に行く前に
次のようなことを言う先生をよく見かけます。

「いいか。数列や確率の問題は『書きあげ』だ。
書きあげすれば少なくとも(1)はできる!」

私は、その考えには異論はありません。
しかし、そのようなことを言う先生が
「書きあげ」の経験を積ませるような
授業をしているのを私は見たことがありません。

ほとんどが、解法スキルを向上させる教え込みです。

そんな、授業で経験させたことのないことを
本番前に「やれ」というのはどういうものなんでしょう。



この問題の前半部分は
小学生にフェルトボールなどを使って
考えさせてもできるのではないでしょうか。

もちろん「n」なんて文字や、
2次不等式などはお呼びではありません。

「ある群には何個項があるか」
「ある群の最後の数まで項が何個あるか」
という問題意識さえあれば
試行錯誤によってできるはずです。

フェルトボールを俵積して
「何群目」を「何段目」などと読み替えれば
問題の意図している内容が
子どもたちにも伝わるはずです。

私は、このようにして解く経験によって
「考えることの楽しさ」を
生徒は学ぶのではないかと思います。

逆にいうと、公式化や解法のパッケージ化の
指導に慣らされている高校生は、
このような問題に対して
「試行錯誤すること」さえ
できなくなっているのではないか
と思うときがあります。

それは極論かもしれません。

しかし、純粋に考えること、
試行錯誤することなどの経験なしに、
いきなり4次元表や、
nの2次不等式でパックされた解答をなぞっていくことが、
問題の本質を見えにくくさせ、
群数列への苦手意識を生み出して
いくのではないかとも思うのです。

小学生風の解答は次のようになるでしょう。
1群の終わりまで項の数は 1個
2群の終わりまで項の数は 1+2=3個
3群の終わりまで項の数は 1+2+3=6個
4群の終わりまで項の数は 1+2+3+4=10個
5群の終わりまで項の数は 1+2+3+4+5=15個
6群の終わりまで項の数は 1+2+3+4+5+6=21個
7群の終わりまで項の数は 1+2+3+4+5+6+7=28個
8群の終わりまで項の数は 1+2+3+4+5+6+7+8=36個
9群の終わりまで項の数は 
1+2+3+4+5+6+7+8+9=45個
10群の終わりまで項の数は 
1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=55個
11群の終わりまで項の数は 
1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11=66個

このような活動から、
65番目は11群の10番目であることがわかります。

<追加の話題>
私は、群数列の指導では、問題を解いた後に
「群数列とは数字を2次元に配列したもの」
と捉えるような活動を取り入れたいと思います。

今回の問題は、図のように、
同じ数字を三角形に俵積みして
書きならべたものとみることもできます。

gun2-03.png
(図は5段まで)

このような俵を3つ用意して、120度回転させて並べ、
対応する項の値を加えるとすべて同じ数になります。

gun2-02.png
(写真は4段まで)

ということは

gun2-04.png

が言えます。

これをn 段の場合について考えると、

gun2-05.png


平方和の公式を簡単に導くことができました。


教師は、模範解答を解読する指導だけでなく、
その背景にある意図や、
周辺にある面白さなどを同時に見せることで、
将来本当に数学を学びたいと思う生徒を
育てていくことができるのではないかと思います。

 

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