群数列について①

今年のセンター試験の数学ⅡBで、
群数列の問題が出題されました。

そこで、群数列にまつわる話を
2つほどしたいと思います。
今回はその第1回です。

さて、センター試験に出題された
群数列は次のものです。

gun-01.png

このような群数列は
受験問題集などにもよく登場しますね。

では、この数列のルーツや
意味を考えてみましょう。

そもそも数列とは何かというと、
数を「一列に」並べるということ。
そして、その第n番目の項は、

などと、
インデックス(添字)をつけて表します。

これは、その数列を自然数全体の集合と
1対1に対応させているといえますね。

つまり n から への写像です。

そういう視点で、
上にあげた群数列を眺めてみます。

この数列には、1より小さい
すべての正の既約分数が含まれています。

つまり、このような規則で数を並べ、
「約分して前と同じものが出てきたらそれははずす」
というルールをつくれば、
1より小さいすべての正の既約分数を
網羅できるということになります。

つまり、開区間(0,1)におけるすべての有理数は
自然数全体と1対1に対応する、
ということがこの数列からわかるわけです。

少し奇妙な気がしますよね。
自然数は1の次は2、2の次は3と
順序が決まっていくのですが、
分数は、例えば1/2と1/3の間には
無数の分数が存在しているので
1/2の次にくる分数は決められません。

ですから、(0,1)の有理数全体に
もれなく番号をふっていくのは
無理なのではないかと感じてしまいます。

でも、上のような手法で
インデックスをつけていけば
確かに自然数と1対1に
対応することがわかるわけです。

無限数列として表現できるということは、
「自然数全体の集合と1対1の対応がつく」
ということ。

このような数列で表される集合を
「可算集合(可算無限集合)」といいます。

では、有理数全体の集合は可算集合でしょうか。

実は、19世紀のドイツの数学者で
現代集合論を築いた数学者カントールが、
群数列の考えを用いて
有理数の集合と自然数の集合は
1対1に対応できることを見事に示しています。

カントールの行った手法で
有理数と自然数を対応させてみましょう。

まず次の群数列を考えます。

gun-02.png

第k群は、分母と分子の和がk+1となる規則です。

この数列を生成する過程で
1/1、2/2など同じ値になるものが出てくるので、
一度出てきた数はとり除くことにします。

さらに先頭に0を加え、
プラスとマイナスを交互につけていきます。

gun-04.png

この数列にはすべての有理数が1回ずつ現れています。

現代数学では、無限集合の「大きさ」を
「濃度」という言葉で定義します。

その言葉を使えば、

「有理数の濃度は自然数の濃度と同じである」

ということがわかったわけです。

今回のセンター試験で出題された
数列のルーツはカントールに遡るわけでした。

ここまでいくと、対角線論法と
連続体仮説の話をしたくなります。

今、有理数全体の集合は
自然数の集合と1対1の対応がつけられる
ということが言えたわけですが、

では、実数全体の集合はどうでしょうか。
うまく番号をふって
自然数列と対応させられるでしょうか。

残念ながらそれはできません。

カントールは、実数全体が自然数と
1対1に対応できないことを
「対角線論法」という手法によって示しました。

開区間(0,1)の無限にある実数を
すべて以下の様に一列に並べたとします。

gun-05.png

ただし、0.23などの有限小数は0を付加して
0.230000・・・と表すことにします。

さて、ここで、※の各値から

nn を取り出した数列を考えます。

この数に対し、
nn に対し、それと異なる数
n を対応させて、

gun-12.png

という数を考えます。

例えば、nnが5以上なら

gun-10.png

4以下なら

gun-11.png

として、小数点以下に現れる数が
すべて1と9だけの小数を考えてもいいわけです。
さて、このようにしてつくった

gun-12.png

は※の中に含まれているでしょうか。

答はノーですね。
※内のどの数とも
nnが異なっているので

gun-12.png

はどの数とも一致することはありません。

つまり次のことが言えます。

「実数は自然数全体と
1対1の対応をつけることができない」


自然数全体の集合の濃度を、ℵ0(アレフゼロ)、
実数全体の集合の濃度をℵ(アレフ:連続体の濃度)
といいます。

カントールは
「ℵ0とℵとの間の中間の濃度は存在しない」
という予想をしました。

これが数学の世界で非常に有名な
「連続体仮説」といわれるものです。

教え子たちの中からこの仮説の証明に
挑んでくれる人が出てくれば嬉しいかぎりです。

引き続き第2回に。



 

コメント

コメントの投稿

  • URL
  • コメント内容
  • password
  • 秘密
  • 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL: http://simomath.blog.fc2.com/tb.php/1077-a35acdec