オーサービジット「生命倫理入門」

岩手県の端っこでひっそりと暮らす
そんな私にも
アクティブラーニングの講演などで
あちこちから声をかけていただくことが増え、
それはありがたいことなのですが、
少し戸惑うこともあります。

それは、アクティブラーニングとは何か、
という「正解」を求める問いに出会うときです。

「アクティブラーニングとは何か」
「アクティブラーニングによる効果は何か」
「アクティブラーニングは何のために行うか」

私は正解を持っている人間ではないので、
しばしば

「アクティブラーニングとは、
それが何かを考え続けること」

などと禅問答のようなことを言って、
相手に怪訝な顔をされることもありました。

まあ、だいたい
「アクティブラーニングは
行う主体によって異なるから、
『自らの言葉で語り、考え、創造する』
ことが大切」
という話にはなるのですが。

確かに正解を求める先生方は多い。
ですが、では人は、
与えられたその「正解」によって、
行動を決定することができるのでしょうか。

一般に、教育公務員は、文科省や
教育委員会から出されたものを「正解」とし、
それを遂行していくことが
義務として求められるでしょう。

しかし、上からいわれたからといって
疑問や批判的な分析を経由することなしに、
黙々と業務を遂行することほど
愚かなことはないのではないかと私は思います。

教師は考えることをやめ、
生徒にも考えることを封殺し、
結局、他人に迎合するばかりの
生き方が助長されてしまう、
そんなふうに私は考えてしまうのです。

今、アクティブラーニングのムーブメントに伴って、
振り子の反動のように、
疑問を呈する人も多くなっています。

何を隠そう私もその一人なのではありますが。

でも、この流行によって、
学校がその枠を超えて
「学び」について語る機会が増えてきたことは
とてもいいことではないかと思っています。

大学の先生や小学校の先生や塾の先生と
同じテーブルで、
学びについて語り合えるなんて
こんな素敵なことは、
これまでは殆どなかったことではないでしょうか。

であれば、そこは、
学びの手法のノウハウを求めあう場ではなく、
教育の哲学をもっと語り合う場
であるべきではないか、と思うのです。

さて、

話しは変わりますが、
筑波大学では「河合塾みらいぶ」と提携し
「学問本オーサービジット」を企画しています。
オーサービジットとは、本の著者を招いて
講座などを行うことですね。

大野高校では早速応募しましたよ。

「他者性の時代~モダニズムの彼方へ」
の著者である、さっちゃんこと、
五十嵐沙千子先生を12月21日にお呼びして、

生きるって何だろう?
死ぬって何だろう?
幸せな人生とは?
という人生の問題や生命倫理の問題を、
普通の言葉で一緒に考える
という授業を行っていただきます。

他者性


五十嵐先生には、
6月にも大野高校においでいただき、
院生さんも交えて、
哲学カフェを行っていただきました。

このように、
大野高校を支援する外部の人と繋がり、
「考えること」を純粋にテーマにした授業を
ピンポイントで据えていくことも、
本校のアクティブラーニングなのかなと思っています。

ここで、先ほどの「正解」を求める話に戻します。

昨日、「他者性の時代~モダニズムの彼方へ」の
五十嵐先生が執筆した
「生命倫理入門」の部分を読んでいたところ、
その冒頭に、

「生命倫理」とは「いのち」をめぐる反省である

という言葉に出会いました。

思わず心臓の鼓動が2倍になり、
「なるほど」と4回ツブヤキ、
目から鱗が8枚も落ちました。

そして、この文章は次のように続けられます。

「生命倫理」が扱うのは、
本当に深刻な話ばっかりなのである。
人間はどう生きればいいの?
いったいわたしはどうすればいいの??
哲学者なら、
人間はどう生きるべきかについて
「ちゃんとした」答をあたえてくれるかも?
-あなたはそう期待しているかもしれない。

それは困る。
困るなあ。

哲学者っていうのは、
どう生きるべきか、悩んでいる人なのだ。
どう生きるべきか、わかっちゃった人ではないのだ。
だから、あなたに答えを与えてあげる、なんてことはできない。

それなのに、「教えてあげるよ」
などと怖いことを言う人がいるとすれば、
それはモグリだ。

じゃあ哲学者って何なんだ!!
それはたぶん、
あなたより少し先まで悩んでいる人だ。
そしてたぶん、そのおかげで、
与えられる「答え」の嘘くささ、
だけはわかってきた人だ。

「<生命倫理>の問題はこうあるべき!!」
「人間はこう生きるべき!!」
なんていう声高な主張が、
いったい何でそんなに大声なんだ?ってことが
ちょっとだけ疑わしくなってきてしまった人だ。


私は、<生命倫理>というタームを
<学び>に置き換えて読みました。

そして、思わず、膝を16回も打ちました。

12月21日がとても楽しみです。





 

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