「コンプライアンス宣言」

今年の8月8日に、教育長より
「不祥事の未然防止の徹底について」
の文書が発出されました。

新聞報道でも周知の通り、
強制わいせつ、体罰問題など、
教職員の悪質で重大な信用失墜行為が
続いていることによるものです。

その中で、各学校において職員研修会を
実施するよう指示があり、それを受けて、
本校では8月26日に私から
コンプライアンス講話を行いました。

その後、8月29日には、
市町村教育長・県立学校長緊急合同会議
が持たれています。

しかし、そのような取組にもかかわらず、
未だに教職員の懲戒事案が
無くならないということで、
12月14日付に、県教委から、
所属長によるコンプライアンス宣言を
実施するよう通知がありました。

これは、

「コンプライアンス推進に向けた校長自らの『決意』を、
自らの言葉によって作成し、県に報告するとともに、
所属内の全職員に対して直接説明を行う」

という取組です。

早速「決意」を作成し、
職員への説明を行いましたが、
このブログでもその内容を
公開しておきたいと思います。

なぜなら、決意表明とは、学校の内側だけでなく、
外に向かって発信することであり、
それにより、責任の所在が明らかになり、
より強固なものになっていくと思われるからです。

では、以下に、宣言文をあげておきます。

<コンプライアンス宣言>

教職員の懲戒事案が後を絶たない状況です。
職員の不祥事問題は、
個々の職員に回帰されるものではなく、
学校組織の問題として捉えなければなりません。

それは、不祥事を学校教育荒廃の発露であると
非難する世間の風潮があるからということではなく、
そもそも、公務員としての自覚や、
職場への帰属意識、職務に対する使命感、プライドが、
職員の行動を決定する要因であるからです。 

つまり、不祥事を起こした個人の自覚が無かった、
というなら、それはとりもなおさず、
そのような職員を生み出してしまった組織の問題、
管理者の責任と捉えなければなりません。

私は、花巻北高校の校長として、
地域や社会から信頼され、
未来に生きる逞しい生徒を育てる使命感を持った、
学び続ける職員集団をつくるため、
次のことに取り組んでいくことを宣言いたします。

一 
学校がチームとして機能するために、
職員間の同僚性が築かれ、
分掌や世代を超えて繋がりあい、
重なり合う職場づくりに努めます。


法令の正しい理解、更新すべき新しい知見、
様々な事例研究など、
あらゆる場を捉えて研修等の啓蒙活動を実施し
リーガルマインドの醸成に努めます。

一 
「責任感と使命感を持ち、岩手らしさにこだわり、
現場主義に立つ教師、高い志を持ち、
岩手の復興人づくりを生徒目線で行える教師」
(岩手県コンプライアンスマニュアル)
という岩手の教師の目指す姿を踏まえ、
社会に発信・参画していくような、
地域に開かれた学校づくりを目指します。


教師の日々の教育活動が正当に評価され、
生徒、保護者、地域から信頼、尊敬されるために、
教師が多忙化・多忙感から解放され、
明るく健康な職場が実現するよう、
学校運営の見直しや執務環境の改善に取り組みます。

平成28年 12月 16日
岩手県立花巻北高等学校
校長  下町 壽男



 

Standard

岩手スポーツマガジン「Standard」の
最新号が発売されました。

本校の男子剣道部が
大きく紹介されています。

スタンダード剣道

男子剣道部は、今年の新人大会団体で
6年ぶりの県制覇を果たしました。

主将の山口君は希望郷いわて国体でも
選手として活躍し、
団体3位の原動力になりました。

また、バレーボル男子の注目選手として
本校2年生の荒木田君が
紹介されています。

スタンダードバレー

荒木田君は、最高到達点3m30cmを誇る
東北でも有数のサウスポーです。

これからの活躍楽しみですね。


 

図書館は冬モードに

クリスマス明けの26日、
学校の図書館前を見ると、
新たに本がディスプレイされていました。

図書館12月02

図書館12月01

クリスマス、箱根駅伝、忠臣蔵、
ベートーベンの第九、雪と氷、
ウインタースポーツ(スケート、ジャンプ)。

なるほど、なるほど。

冬休み年末年始バージョンですね。

T先生ありがとうございます。

本たちが私に語りかけてくれ、
思わず立ち止まり、
絵本を手に取って立ち読みしていました。

そんな記事をFBにあげたら、

知らない本がたくさんあります✨
わたしも立ち読みしたいです✨
T先生ありがとうございます。

これは思わず立ち止まりますね(*☻-☻*)


といった感想をいただきました。

T先生の継続的で地道な取組、
素晴らしいと思います。

今日見たら、今度はお正月モードに
マイナーチェンジされていました。

s-図書館お正月

s-お通し玉
お年玉ならぬ、合格祈願の
「お通し玉」


私は、学校や教室をこういう
止まり木のある空間にしたい
という思いがあります。

校長室前もウェルカムボードや
手書きイラストなどで少しずつ
アピールしているところでございます。

s-DSC_0376.jpg

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「基礎が大切と気づく感度」 

先日、教え子のMさんが、
ギター演奏の発表をしたときのことを
FBに書いていました。

「ギターもダンスも出来は良くなかったけど、
一人反省会をし、引き続き練習です。
やっぱり基礎大事」


私はこの記事を読んでなるほど、と膝を打ちました。

基礎の大切さを述べているわけですが、
皆さんはこの記事からどんなことを感じますか。

「やっぱり発表する前に、まずは基礎だよね」

でしょうか。

私は違います。

この記事の肝は、
「発表」することによって
「やはり基礎が大事」
と気づくことなんだと思います。

アクティブラーニングを進めていく中で
よく出会う質問は

「本校の生徒はまだアクティブラーニングが
できる段階ではない。まずは基礎基本」

「基礎基本を習熟した先でなければ
充実したグループワークや
表現活動なんかできっこない」

というものです。

そして、繰り広げられるのは、

「板書をノートにとる」
「私語をしない」
「課題を提出する」

ということに心血を注ぐ授業です。

でも、そうやって培った?基礎基本を
表現するチャンスは、
最後までほぼ現れることはありません。

そんな授業を行う教師はこう言うかもしれません。

「高校での授業は、
大学や社会にでるための準備である。
だからつらくても基礎をしっかり
身につけるべきである。今はその時期」

もちろん、基礎学力が乏しければ、
対話の内容が薄っぺらになるということは
ありうることだと思います。

ならば、そのことを気づかせるためには、
表現する場を与えることが
必要ではないかと私は思うのです。

つまり、アウトプットによって、
インプットの欠乏に気づき、
自らが考え、学びだすということです。

確かに、基礎基本の習熟に
個人差はあるでしょう。

でも、自らの欠乏に気づく力は
誰もが一様に持っていると私は思いたいのです。

ところで、私はこの記事を書きながら、
自分の基礎力不足に気づきました。

私のいいたいことを述べるために、
今読んでいるガート・ビースタの
「よい教育とは何か」を読んでから
書くべきだったとも思いました。

ああ、今すぐこの記事を書くのをやめて、
本を読みてえ。

心底そう思いました。

私の頭の中にあるけれど
まとめ切れていないものが、
きっとガート・ビースタの論に出会えば
見つかるはずだ、と。

あるいはジョン・デューイとか。

でも、こうやってPCに向かってあれこれ考え、
ブログで表現し発信することは、
非常に価値のある時間でもあると感じます。

この記事は自分の中では中途半端だけど、
アップすることで、後で書物に戻って
よい振り返りができるのではないか。

そして、もしかしたら記事を見た誰かが
良いフィードバックをくれるかもしれません。

そんなことを思いながら一人夜更けを楽しんでおります。



 

「終業式での挨拶」

21日に終業式があり、
一昨日から冬季休業に入っています。

とはいっても、課外授業がありますけどね。

特に、受験前の3年生、
この年末を充実させて欲しいですね。

終業式での私の挨拶を思い出しながら
以下にまとめておきたいと思います。




2016年も終わろうとしています。
今日はここで、この1年間何があったかを
振り返るのではなく、
これからの1年間をどう生きるかという、
未来志向の話しをしたいと思います。

皆さん、今一番欲しいものって何ですか?

それはすぐ口に出して言えますか?

昔、私は、「若さのチェックテスト」
というものを考えたことがあります。

それは、20秒で10個以上
欲しいものが言えれば若い人である、
というものです。

やってみましょうか。

20秒は長いので、10秒で5個にしましょう。

「モノ」ですよ。
「愛」とか「優しさ」とかはだめですよ。

そしたら昔、「1万円、10万円、100万円・・・」
と言った生徒がいましたが、
お金もナシにしてくださいね(笑)。

(10秒ワーク)

言えましたでしょうか。

なぜ、欲しいものがいっぱい言えた人が
若い人なのかというと、
若いということは
「欠乏している状態にある」ということだからです。

「足りない」「満ち足りていない」ことを自覚して、
「その差を埋めようともがいている」

これが若い人の定義ではないかと私は考えました。

さて、ここで「劣等感」についての
話しをしたいと思います。

皆さんも含め、誰もが皆、「劣等感」を持っています。

若い人であれば特にそうかもしれませんね。

なぜ「劣等感」を持つか。

それは「自分が欠乏していることを埋めよう」
つまり、「明日は今日よりよくなろう」という
「More than yesterday」の意識を持っているからです。

人は、少しずつでも自分を更新していこう、
進歩したいという欲求を持って生きています。

そして、いつかはこうなろうという
「目標」を抱いて日々過ごしています。

つまり、明日は今よりも
少しでも良くなった状態とすれば、
現在は未来に比べて劣っている状態です。

その差分によって
「劣等感」が生まれるわけですね。

ここでいう「劣等感」とは
「どうせできない」「やっぱり自分はダメだ」
という「劣等コンプレックス」とは違います。

劣等感を持つことは、
今より、より良く生きようと
思っているからだとすれば、
それは健全であることの
証ではないかと私は思います。

私はこうなりたい、という「明日の私」のイメージを
「自己理想」と呼びます。

自己理想に比べれば、
「今日の私」は不十分なところだらけです。
だから「劣等感」を感じ、
それを補うために努力しようとするわけです。

「私は大谷選手にはかなわない」と思うのは
「劣等感」ではないですね。
そうではなく、近くにいる友人に対して
「私はあの人にかなわない」
などと思うのが「劣等感」です。

それは、その人と自分との差を考えて
コンプレックスを抱いているのではなく、
その人の中に「未来の自分の目指す姿」を
見ているからなんですね。

このような、「劣等感」に注目して
人間の行動を分析したのが、
19世紀から20世紀に登場した
オーストリアの心理学者
アルフレッド・アドラーという人です。

最近、アドラー心理学はブームになりましたので
皆さんの中で知っている人もいるでしょう。

私も以前、オンライン講座で
アドラー心理学を学んだことがあります。

アドラーは、その人の過去が
自分を決定するという「原因論」ではなく、

「その人がどこに向かおうとするか
という目的で現在が決定する」

という「目的論」を採用しています。

私は「目的がその日その日を左右する」
という言葉を好んで使っています。

アドラーは

「私はどこからきたか、ではなく、
私はどこに行くか」

という問が大切であると言っています。

さて、ではここで皆さんに、
このアドラー心理学のテイストともいえる
「幸せの方程式」を紹介したいと思います。

「幸せの方程式」とは、
「なりたい自分=なっている自分」というものです。

大学に合格したいと思っていて、
それが実現すれば、
方程式が成り立ったことで、ハッピーですね。

では、この「幸せの方程式」を成り立たせるための
一つの秘策を教えましょう。

それは、年末や年初めに、
「なりたい自分」の目標を100個書きだすことです。

私が昔書いたサンプルを持ってきました。

(見せる)

「なりたい自分」を考える、という問いかけによって、
自分の生き方を客観視することができます。

そして、本当にやりたいこと、
やりたくないけれどやらなければならないこと、
やりたいと思い込んでいるけれど
本当はやりたくないこと、

などが整理されていきます。

そのような中で、問題の所在が明確になり、
様々な行動の関連性に気づき、
自分の目的が
明確になっていくのではないかと思います。

更に、それを書きだすという表現活動によって、
自己内対話が促進され、
その結果、ヒラメキが生まれたり、
やる気がでてくるかもしれませんね。

また、書きだして記録に残し、
それを人に伝えれば、
後戻りできない状況に
自分を追い込むことになり、
思いを行動につなげるための
原動力にもなると思うのです。

私は

「体重75kgを達成する」

とは書かずに

「この12月に遂に体重75kgを達成しました!」

というように

「時期を限定し、過去形で書く」

ことを実践し、
7割近くを達成することができました。

私は、この方法を実践することで、
ややもすれば見逃してしまう
日常のちょっとしたできごとに
価値を見出だすという、
「気づき」の感度を高めることが
できたかな、と思っています。

「気づき」の感度を高めることは、
偶然の出会いを必然のものとする力、

いわば運命を引き寄せることにも
つながるのではないかと思っています。

100個は大変かもしれないので、
50個でもいいので、
皆さんも年の初めに
「なりたい自分リスト」を作成して
「幸せの方程式」を実現して欲しいと思います。

2017年が皆さんにとって良い1年になりますように。



 

「グローバル教育の授業設計とアセスメント」

グローバル教育のトップランナーである、
石森広美先生の
「グローバル教育の授業設計とアセスメント」
(学事出版)を読んでいます。

グローバルアセスメント

この本は、グローバル教育についての理念、
現状分析と課題などが系統的、学術的に
まとめられているとともに、
現場リサーチに基づいた実践例や
アセスメントを提示するところまで、
「WHY・HOW・WHAT」の視点で
詳細に記されています。

私は、「グローバル教育」を
「アクティブラーニング」、
「グローバルシティズン」を
「アクティブラーナー」

と置き換えることもできるなあと
思いながら読んでいました。

グローバルシティズンの育成を目指すことと、
アクティブラーナーを生み出す組織を創ることは
同一平面上にあると私は捉えています。

そして、グローバル教育にしても
アクティブラーニングにしても、
そのアキレス腱として
「評価」の問題があると思います。

それは、どちらも、ある評価軸上に
即時的に数量化することが適さないこと、

つまり、教育効果として
「態度」の変化を促すものであり、
行動主義的な評価に適さない
ということが背景にあるからでしょう。

しかし、石森先生は

「グローバル教育や国際理解教育が
自明としてきた『評価しない』という
既存の概念を批判的に検討し、
より質の高い授業と生徒の学びの向上
のために考察すべき諸点を指摘する」

と、評価、アセスメントに
大胆に切り込んでいます。

まさに、この本は
グローバル教育を進めるための
「知のボスキャラ」ですね。

私は、石森先生の言葉や書物に出会う度に、
いつも多くの刺激をいただいています。

 

西南中学校訪問

昨日は、花巻市立西南中学校におじゃまし、
授業を参観させていただきました。

seinankousya.jpg

西南校舎LT

西南中学校は、
吉田校長先生のリーダーシップのもと、
ここ数年積極的に授業改善による
学校力向上に努めておられます。

吉田校長先生は、授業改善といっても、
特別華々しいことをやるのではなく、
毎日の授業を

「教師と生徒の信頼と対話の場」

にすることをずっと強調されておられます。

そのような中で、全国学力調査などにおいても
目覚ましい右肩上がりの成果が現れています。

特に、学力調査では、正答率はもちろんのこと、
意識アンケートの面でも、
「数学の授業が楽しいか」などという、
学びに向かう姿勢の部分でも
ポジティブな結果が現れているとのことでした。

12月12日、吉田校長先生に、
授業参観の依頼を行いました。

先生は、いつでもおいでください、
と快く応じてくださいました。

そういうわけで昨日訪問し、
各学年の授業を一通り参観させていただきました。

どの授業も本当に素晴らしいと実感しました。

嬉しかったのは、中学校の先生方に
2人程花巻北高校の卒業生がいたことです。

しかも、2人とも私が花北に
勤務していたときの教え子です。

以下に、授業の様子を少しだけ紹介します。

西南英語

1年生の英語です。

「遊ぶように学ぶ」

理想的な学びの空間でした。

生徒達の表情がすべてを物語っています。

ALTを含め、教師は決して教え込まず、
生徒との対話を通して、
英語の面白さ、
学びあうことの楽しさを伝えます。

そして、彼らの「やる気」を引き出していきます。

西南英語02LT

3年生の英語です。
マララ・ユフスザイさんの
エピソードの教材を用いて
再話(story retelling)の活動を取り入れた
アクティブな授業です。

各グループがハーベスト(紙芝居)を作成する過程で、
対話的な活動が促進され、
言語知識の内在化を促進します。

そして、アウトプット(プレゼン)を行うことで、
インプットの欠乏に気づくことができ、
その後の学びに繋げていくことができます。

最後に、先生は、マララさんの主張の肝である
「すべての子ども達が学ぶ権利」
について言及します。

これは、英語としての知識・技能の
習得から一歩進んで、
英語というツールによって、
グローバルな問題を展望するという、
より高次の教育目標へのアプローチです。

オールイングリッシュで展開される
素晴らしい授業でした。

西南社会02LT

社会(地理)の授業です。

バレーボールのトス回しのように
発せられるテンポのよい発問。

その発問は、教師の頭の中にあるものを
強引に言わせるものではない。
生徒の素朴な一言や、
グループ内討議を経て発信される意見を
教師は紡ぎ、構成して、次の問いを立てていきます。

また、OHCなどを用いて、
ビジュアルなアプローチをしているところも
ポイントです。

教師-生徒の対話、グループ内対話、
グループ間の交流、教師の適切な介入等々

社会構成主義的な視点を感じさせる授業で、
かなり熟達した授業者であることが
わかります。

西南社会01LT

同じく社会(公民分野)の授業
花北勤務時代の教え子です。

クリアな指導言、堂々とした姿勢に
感動しました。

決して、知識を注入しようとはせず、
身近な例をあげながら、生徒との対話を軸に
モチベーションを喚起して学びの世界に
生徒を導いている様子が感じられました。

頑張っているなあ。

西南理科01LT

西南理科02LT

西南理科03LT

理科(物理分野・静電気)の授業です。

オーディオ機器の活用、演示実験など
様々な活動を取り入れて、
生徒の興味を喚起していきます。

授業冒頭の問題提起、
そして、展開のための3つの問いの設定など、
インストラクショナル・デザインが
しっかりしているということと、

実生活への活用という視座に立った
授業だなあという印象を持ちました。

西南数学LT

数学の授業です。
空間における直線の
ねじれの位置に関する授業です。

安易に教師が答をいわず、
生徒個々に考えさせ、
グループ内討議で共有化をはかり
全体の合意形成を目指します。

生徒から出される様々な意見を
教師は楽しみながら、
新たな問いにつなげていきます。

様々な意見交換を経た中で、ある生徒が

「ねじれの関係とは、2つの直線が
同一平面上にのっていないこと」

という趣旨の発言がありゴールに向かいました。

とても感心しました。


今回の、授業参観で感じたのは、
西南中学校の先生方は、

「教科書を早く終わらせる」
「学力調査の結果を良くする」

などといった呪縛から
フリーになっているということです。

その上で、生徒との対話によって、
主体的な学びを促すことを全員が共通理解して
授業にあたっていることが注目すべき点です。

そして、結果として、学力調査などが
好成績になっていることで、
自分たちの取組が間違っていないことに自信を持ち
更に主体的、対話的な学びを推進する好循環が生まれ、
その土壌が強固になっていくのではないかと感じました。

しかし、多くの高校では、その逆の、
倒錯的な授業が展開されています。

それは、

「本当は主体的・対話的な授業をやりたいし、
自分でもできるけれど、生徒や親のニーズがあるから」

「まだ彼らには基礎基本ができていないから、
対話型の授業の段階ではない」

などをエクスキューズにして
鍛錬型、一方向型、スピードと量重視型の授業に
邁進する授業です。

結果として、評価されるのは、
しがみついてくる生徒だけで、
ドロップアウトする生徒には
「手厚い個別指導」という名の、
「脅しや餌付け」によって行われる
補習、再テスト、課題などの徹底です。

しかし、どんなにアサインメントを増やしても
どんなに、教師が同じ事を繰り返し説明しても

生徒自身が主体的な活動の中で
自らの中にあるものに気づき、つかみ取る
ことより強いものはないのではないか、
と私は思います。

であるなら、教師は、
まっさらな状態の生徒に、
知識を付与するのではなく、
モチベーションとインタレストを高めるような
学びの場をコーディネートし、
生徒自らの気づきを誘発していくことが
求められているのではないでしょうか。


今回の授業参観では、生徒の生き生きとした姿、
先生と生徒の良好な関係、

そして、先生方の授業をより良くしようとする
直向な思いを見ることができました。

何より、校長先生の
溢れるばかりの生徒への愛と、
職員への強い信頼を感じました。

「なるほど、キモはそこか」

と合点がいき、私も先生を見習おうと思いました。


校長先生はじめ、西南中学校の先生方
ありがとうございました。

 

「第2回花高活性化プロジェクト」

昨日は、「花高活性化プロジェクト」の
第2回ワークショップが行われました。

前回の記事はこちらです→★★

前回は、「意見発散・共有」というテーマで、
本校の強みと課題について分類し、
議題を焦点化していく活動を行いました。

今回は、その成果物を
1つにまとめたものを題材にして、

「精査・解決策を探る」

というテーマで行いました。

活性化プロ-04
上写真は、前回の成果物を一つにまとめたものです。

冒頭、初任者のK先生に、
初任者研修で仕入れてきた
アイスブレイク(サイコロトーク)を
行ってもらいました。

活性化プロー01

活性化プロ-02

場がとても盛り上がり、
ディスカッションしやすい
雰囲気が生まれましたね。

その後、川村副校長から、
前回のワークショップのまとめを行いました。

活性化プロ-05

まとめの図参照→★★

生徒を育てるための様々な働きかけ
(課題、授業、講演会など各種イベント)を
「プログラムアプローチ」、

生徒に向き合うことや、
心に働きかける活動を
ヒューマンアプローチと定義します。

すると、前回のワークショップから、

●プログラムアプローチは太いけれど、
 反面、職員の多忙化を助長していることや、
 疲弊する生徒が現れるなどの二極化が生じている。
●ヒューマンアプローチが低下しているのではないか。


という課題が浮き彫りになりました。

このことを踏まえ、
グループで具体的な改善提案や
問題提起を行うという課題設定を行いました。

最初に、スクラップできるものを検討し、
次に、二極化を改善するような
具体的な取組を考えていく
という方向で進めていきました。

活性化プロ-03

あるグループからは、
教師と生徒の懇談会を組織化して、
学校課題の解決について話し合う、
という提案が出されました。

活性化プロ-06

活性化プロ-07

また、ある先生は、
ミスターラグビーこと平尾誠二氏の
「創造的破壊」という言葉をあげて、
このワークショップの姿と重ね合わせてくれました。

最後に私から、このようなワークショップには、
管理職からの上意下達の業務命令による
「やらされ感」や、
声の大きい人の意見に少数意見がかき消される
といった問題を解消できる
という価値があることを強調しました。

また、ECRSの視点での業務の見直しについても
少し補足いたしました。

短い時間でしたが、多くの意見が出され、
充実したワークショップになりました。

次回は、今回の結果を踏まえ、
遡上にあげる具体的テーマを絞り込んで、
検討を深めていく予定です。


 

第31回全国高等学校文芸コンクール短歌の部最優秀賞

快挙です!第31回全国高等学校文芸コンクール
短歌の部で、本校3年の長畑七海さんが、
全国1位である最優秀賞に輝きました!

「一輪の墓石に飾る連翹忌 あなたの気魄私に充たせ」

連翹忌(れんぎょうき)は高村光太郎の命日のこと。

高村光太郎は、花巻市ゆかりの詩人。
本校の中庭にも彼の像があります。

「進学して新しい生活を始めようと思っている
自分へのエールのつもりで詠んだ」とのこと。

七海さんは、東京での表彰式を先日終えました。

20日には、教育長への表敬訪問を行う予定です。

おめでとうございます!


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「岩手日日」12月5日の記事より
 

東北ブロック高等学校家庭クラブ連盟総会並びに研究発表会

12月7日に、市立函館高校の教員研修会に呼ばれ、
授業参観、研究協議と講演を行いました。

そのときの様子はこちら→

函館のホテルは「朝市」の目の前だったので、
朝食は朝市に出かけ、カニ丼(ミニ)。

kanidonLT.jpg

朝市はもうカニカニモードで興奮しますね。

朝市01LT

歩く姿もカニ歩き~(笑)。


その後、家庭クラブの東北大会のため青森に移動。

牛崎先生に誘っていただき、
先生のお兄さん家族とご一緒させていただきました。

食事したお店がこれまた感動的。

津軽三味線の生演奏あり、

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あの幻の田酒が
「やけくそのように」並べられていたり・・・。

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さて、8日に行われた
東北ブロック高等学校家庭クラブ連盟
総会並びに研究発表会では、
各県の、学校家庭クラブ活動と
ホームプロジェクトの研究発表を堪能しました。

私の個人的な見解ですが、
学校家庭クラブの6本の発表を聞いた中で、
一番心に残ったのは岩手県の平舘高校の

「つなぎたい!ハルさんの知恵と技術 
~「西根むらさき染」への挑戦~」でした。

私は、平舘高校の発表を聞きながら、
学校家庭クラブ活動のポイントは
次の様なものではないかと感じました。

●地域や郷土に対する思いから出発していること
●学校内に留まらず、様々な人々との
 共創が行われていること
●その活動によって、思いが増幅され
 連帯の輪が広がっていること
●家庭科で学んだ知識や技能を
 生活に活用する視点を持っていること
●サイエンスや芸術なども含め、
 教科を横断する探究的な活動であること
●次世代に引き継いでいける
 地道で持続可能な取組であること
●人口減少、高齢化、環境問題など
 現代社会が直面する課題に対する提言があること
●高齢者や障碍者、子どもなど
 社会的弱者への眼差しを持つこと

平舘高校の発表には、
これらの要素が全部含まれていました。

私は、プレゼンテーション技能よりも、
その中味に注目したいと思うのですが、
それは素人考えなのでしょうか。


さて、

次年度の東北地区大会の担当は岩手県です。

そこで、次年度開催県の代表ということで、
本校の1年生の大森菜津子さんが、
閉会行事で力強く挨拶をしてくれました。

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修学旅行中で、会長不在の中ありがとうございました。



 

ハイブリットワークショップに見る「公私を越えて繋がる」ニューリーダーの存在

だいぶ時間が経ってしまいましたが、
11月22日に本校で行われた、
アフターアワーセッション

「世界と繋がりながら語り合う
ハイブリッド・ワークショップ」

について紹介したいと思います。

参加者はリアルで60人、
ZOOMによるオンラインで25人にも及びました。

ニューヨーク、ニュージーランド、シンガポール、
韓国、マレーシアといった海外からの
参加者があったことも特筆すべき点です。

この会全体の様子は、
オンラインファシリテーターをされた
田原さんが適切にまとめておられますので、ご覧ください。

http://flipped-class.net/wp/?p=2582

田原さん、ありがとうございます。

フェイスブック上で、
参加された皆さんからの振返りや、
写真の数々を見て勇気づけられております。

また、翌日の「岩手日日」に
何と一面トップで記事が掲載されています!

after-09.jpg

この取組みを広く認知してもらうためにも
とてもありがたい記事でした。

今回は、

「セッションの開始前の自分に、
終了後の自分がメッセージを贈る」

というリフレクションを行いました。

特に回収はしなかったのですが、
数人の方からご提示いただきましたので、
以下に紹介したいと思います。

■異なる意見を交わし合い続ける
 心地よさを実感しました。
 参加者の、子どもたちに向ける愛情は
 それぞれかたちが異なっても、
 同量のエネルギーを蓄えているからこその
 一体感だったと思います。

■ベンチャー精神を抱き自立している方々の
 思考に触れることができ、幸運でした。
 「僥倖に恵まれる」とはこのことです。

■協同し、知恵を出し合いながら、
 成功させることを前提に話し合いが
 進んだような気がしました。
 自分の頭でポジティブに考える
 思考クセのある方々と話していると勇気がわきます。

■「解釈は無数にある」
 いつも頭において生活しているつもりが、
 いざ、様々な意見に出会うと「?」となり足が止まった。
 頭で考えることと、実際の経験をすることは違う。
 やはり経験して、様々な人の様々な解釈に
 「いいね!!」と承認しあえる人になるぞ!
 と言ってあげたい。
 「あり完」←これで幸せになった人が、
 まわりにも同じ思いで接していけば、巡り巡って、
 あり完のgoodサイクルが起こるぞ!

■教育現場の先生方の視野を
 もっと広げて欲しいと思いました。
 得意分野はもちろん、不得意分野にも挑戦し、
 その体験を子どもたちに伝えていただければ、
 変わるのかと思います。

■ワークショップは苦手なので、話しを聞くことに徹して、
 肯定したり、当たり障りのない頷きにより、
 場をつくることに貢献しようと思っていたキミに、
 それでは、場をつくることに貢献できていないことが
 よくわかったんじゃないかな。
 たまたま、仕事に関わる相対評価の話になり、
 Cさんがそれ自体を否定したことに対して、
 ちょっとむきになり、反論をしたことで、
 Cさんの考えにもなんとなくではあっても、
 理解できたような気になったはず。
 再度、なんで相対評価が必要なのか、
 という点にモヤモヤしたものがでてきたことが、
 次の段階をつくることになったんじゃないかな。

■「あり完」も必要と思います。
 未来の使者である子ども達の発達段階に
 どう対応していくかという、しつけとしての役割は、
 全部家庭でできるのであれば素晴らしいのですが・・・。
 教育の分野で、私の現役時代をふり返れば、
 しつけ教育をしていたように思います。
 今、確実に言えることは、教育は「待つ」ことも
 大きな役割であるという気づきです。
 筒井先生が常日頃からやられていたことが、
 ようやく理解できかけました。
 今日は先生方ありがとうございます。


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今回の成功の要因は、第一に、
松嶋さんと田原さんの
息のあったリアルとオンラインの連携、
そして、筒井さんの適切なファシリテーションという
安心・安全なオペレーティングシステムです。

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そして、そのOS上に、縦横無尽に行われた、
サマンサ&ロナさん、カイチ君、まつしマンによる
インスピレーショントークという
コンテンツの素晴らしさが二つ目の成功のポイントです。

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それが、会場の参加者の心に灯をつけ、
練られた「3つの問い」によって、議論が活性化され、
会場がスイング感とグルーヴ感に満ち溢れました。

そして、全国からこの会に参加された
たくさんの素晴らしい方々が、各グループの中に入って、
エンパワーしてくださったことも見逃せません。

このワークショップの冒頭に、筒井さんが、
この会の趣旨として
「●●を越える」ということを話されました。

皆さんは●●に何を入れるでしょうか。

「職種」、「世代」を思いつくかもしれません。
そのことによって参加者は
新しい視点を手に入れることができました。

あるいは、ZOOMというオンラインコミュティによって
「国境・時空を越える」と感じた人もいるでしょう。


私は、

「公私を乗り越える」

という言葉を入れようと思いました。

それは、松嶋さんのインスピレーショントークの中で、
自分が行っている取組が、
他者から「趣味でやっているんですか」といわれ、
最近は「そう、趣味です!」と答えている、
とおっしゃっていたのを聞いて、
私の頭の中に浮かんだものです。

松嶋さんのように、
「趣味のように働く」
「遊ぶように仕事をする」というのは、
実は、利益やノルマで動くのではないこと、
前例に踏襲されない自由な視点を持つことであり、
それは、社会が直面している課題や、
理不尽に立ち向かうスタンスでもあると思うのです。

そして、その行動原理は、創造力や他者への優しさを
増幅するものであると私は確信しています。


高齢化、地域の過疎化に拍車がかかり、
100年生きて60年働く時代がやってくる
とも言われています。

また、AIの進展による「知識爆発社会」の到来によって、
職業や働き方も大きく変わってくるでしょう。

そのような中、「公私」という境界を
乗り越える視点は、
21世紀を生きる人間に、
まさに求められる資質であり、
それは、AIが追いつけない知性を
内包するものなのかもしれません。

そして、この「公私」という境界を越える視点は、
ただのキレイごとではなく、
キャッシュフロー的な要素も含んだ、
企業マインドにも影響を与えていくものであると思います。

今回、自腹で遠くから参加された方々の、
他者をエンパワーする力とホスピタリティマインドに、
そんな「公私を乗り越える」
ニューリーダーシップの姿を私は強く感じました。

皆さんありがとうございました。

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「K君との数学談議・全微分可能とは」

もう十数年も前の話しですが、
T大学をAO入試で合格したK君との
数学談議シリーズを
備忘録としてブログに書いています。

1回目はヤコビアンについてでした。

実は、彼が、最初に私にした質問は
「全微分」についてでした。

そこで、今回は、その様子を
対話形式でまとめたいと思います。


K:先生。全微分可能の定義なんですが、
  次のような記述がありました。

zb-01.png

  この中の、

 zb-02.png

  の意味がイメージしにくいのですが。

T:じゃあ一緒に考えてみよう。

  まず、高校では1変数の関数だけを
  あつかってきましたが、
  大学では2変数以上の関数も扱います。

  高校では、y=f(x)、つまり、独立変数が x で、
  それに対応して y が決まるという関数をならいます。   

  それが、2変数では、z=f(x , y)という形、
  つまり独立変数 x , yに対応して、
  z が決定するということです。

zb-03.png

K:図形的には、y=f(x) は
  xy平面上の曲線を表すのに対して、
  z=f(x , y) は、xyz 空間上のある曲面を
  表す式と考えるのですね。

T:そう。次元が1つ上がるのです。
  平面→空間で整理してみると
  
  ● y=f(x) → z=f(x , y)
  ● 平面上の曲線の方程式 → 空間上曲面の方程式
  ● 微小部分は直線で近似 → 微小部分は平面で近似
  ● x軸と曲線で囲まれた面積を考える → 
     xy平面と曲面で囲まれた体積を考える

  という対応です。

  レベルがワンランク上がるのですが、
  平面で行なった考えがそのまま保存されます。

  つまり、きちんと平面上での考えが理解されていれば、
  3次元でも難しいことはないと思います。

  では、まず1変数から復習してみましょう。

   y=f(x) が x=a で微分可能とはどういうことでした?

K:
  zb-04.png

  が有限確定値を持つということです。

T:そうですね。ここで、f’(a) の図形的意味は?

K:x=aにおける接線の傾きです。

T:そうです。では、図を見てください。

  zb-05.png

  まず、Q1Q3 の長さは、f(a+h)-f(a)

   また、Q1Q2=h tanθ で、
  tanθは接線の傾きですから、tanθ=f'(a)です。

  つまり、Q1Q2=h f’(a) ですね。

  さて、ここで、Q1Q3=Q1Q2+Q2Q3 なので、

  Q2Q3=εとすると、
 
  zb-06.png

  が成り立ちます。

  両辺を hで割れば、

  zb-07.png

  つまり、

 zb-04.png

  が成り立つということは、
   h→0 としたとき、ε/h が0に行く
  ということが微分可能の図形的解釈です。

K:なるほど。つまり、Q0をP0に近づけるとき、
  それよりずっと急速にQ3はQ2に近づくということですね。

T:そうです。それはイメージ的にいうと、
  「Pにおいて微分可能とは Pの近傍を直線(接線PQ2)に
  見立てることができる」ということになります。

  このことを「まるい地球もすむときゃ平ら」の原理
  といった人がいます(小沢健一先生)。

  面白いですね。

  このことを踏まえて、最初の式を考えてみると
  イメージしやすいでしょう。

K:なるほど。

  zb-02.png

  の意味が見えてきました。

  つまり、平面の場合は、Q0 をP0
  x軸上の直線に沿って近づけていくのに対して、
   3次元の場合は、図のように
  対角線に沿って近づけていくカンジですね。

zb-08.png


T:そうです。そのとき、誤差の項 ε(p , q) が
  Q0P0よりも急速に0に近づく。
  つまり、その点の近傍で平面に
  見立てることができるというわけです。

T:2変数関数での微分可能性では接線ではなく、
  接平面が登場します。

  ところが、高校では残念なことに
  平面の方程式はやっておりませんので、
  まずは、最初に平面の方程式の説明から
  していきたいと思います。

【平面の方程式】

T:まず、直線の方程式の復習から入りましょう。  
 
  zb-09.png
 
  を考えてみましょう。

K:直線上の任意の点をPとして、ベクトル方程式でかけば、
  
  zb-10.png

T:そうですね。このようにベクトルを使えば、
  空間における直線の方程式も同様に
  求めることができますね。

  ではもう一つ。今度は、

  zb-11.png

  を考えてみましょう。

K:内積=0ですね。直線上の任意の点をPとすると、

  zb-12.png

  ですね。 成分表示すると、

  zb-14.png

  となります。

T:では、いよいよ平面の方程式を求めます。
  今2通りの方法で直線の方程式を求めましたが、
  そのどちらかの考えを利用します。

K:例えば、

  zb-15.png
 
  考えれば… ええと。これはだめですね。

  平面がただ一つに決まりません。

zb-16.png

T:そうですね。では後の方の方法ではどうなりますか?

K:

 zb-17.png

  ですね。あっこれはただ一つに決まります。

  そうか。こうやって平面の方程式を求めるんですね。

  zb-18.png


  求めると、

  zb-19.png


T:これを、

  zb-20.png

  といいます。   

  一般に、この式のカッコをはずすと、

  zb-21.png

  とかけます。 これが平面の方程式の一般形です。

   さあ、これで準備完了。

  いよいよ全微分可能についての説明に入りましょう。

  あっそうだ。その前に偏微分は大丈夫ですか。

K:大丈夫です。x , yで表された関数に対して、
  微分する1つの文字以外をすべて
  定数と見るという方法ですね。

  例えば

  zb-22.png

  なら、x で偏微分すると、

  zb-23.png


  また、yで偏微分すると、

  zb-24.png

  ですね。

  zb-25.png

  と書くのでした。

T:偏微分の図形的な意味はどうですか?

K:例えば、y を定数に見るということは、
  ある曲面に対して、xz平面に平行な平面で
  切ったときにできる曲線の接線というイメージです。

T:では偏微分のイメージ図を描いてみます。

 zb-26.png

  図のような
  z=f(x , y)で表される曲面があったとします.

  このとき、xで偏微分するということは、
  y を定数と見るということです。

  それは、図のように、xz平面と平行な平面で切って、
  その切り口に表された曲線を
  微分したということになります。

  例えば、図のように y=2とすれば、図の太線の関数は、

   z=f(x , 2) という、

  xz 平面上の2変数関数になるわけですね。

  ですから、図において、fx(1 , 2)というのは、
  曲線z=f(x , 2) の、点 Pにおける接線の傾きというわけです。

  ではいよいよ、最初にあげた問題、
  全微分可能性について説明します。

zb-27.png

  この図が命です。

  P(p, q , f(p , q))において
  全微分可能とはどういうことでしょうか。

  P における接平面 PQ1R1S1の方程式を
  次の手順で求めます。

  まず、直線PQ1の方程式は、
  曲面を平面PP0Q0Qで
  切った曲線PQ2のPにおける接線の方程式なので、

  zb-28.png

  とおけます。

  また、直線PS1の方程式は、曲面を
  平面PP0S0Sで切った
  曲線PS2のPにおける接線の方程式なので、

  zb-29.png

  さて、ここで、平面PQ1R1S1の方程式を、

  zb-30.png

  とおくと

  zb-31.png

  と求まりました。
  
  この式において、x=p+h , q=q+kとすると、    

  zb-32.png

  となります。 z=f(x , y)なので、    
  
  zb-33.png

K:長かったけれど、
  ついに、最初の式にたどり着きましたね。

T:全微分可能の定義の式をもう一度書くと、

  zb-01.png


  ここで左辺はRR2
  右辺では、
  
  zb-34.png

  であることに注意して下さい。

K:そして、

  zb-35.png

  ですね。 そうか。わかりました。

  R0をP0に限りなく近づけるとき、
  その距離よりもずっと早く、R1R2が0に近づく。

  そして

  zb-02.png

  となるとき全微分可能という。  

  つまり点Pの近傍での曲面を
  接平面にみなすことができるというのが
  全微分可能ということなんですね。

  1変数で考えたことの自然な拡張になっていますね。

T:そうですね。「丸い地球も住むときゃ平ら」
  が更に実感できますね。
  上で述べた全微分可能性から、    

  zb-36.png

  となり、これを動的に考えて規則化して

  zb-37.png

   という全微分が得られます。

K:1変数関数の、dy=f'(x) dx と対応していますね。




 

「数学教室」1月号

「数学教室」1月号が届いておりました。
「数学という名の自由の翼」の連載も
足掛け3年、26回となりました。

数学教室1月号


そして、あと2回で終了となります。

今回は、ちょっと数学の話題を離れて、
以前、ブログに書いたことをリメイクしながら、
グループワークについてまとめてみました。

以下に、さわりの部分を紹介します。


最近、アクティブ・ラーニングの進展とともに、
「グループ活動だと教科書が終わらない、
グループ学習は騒がしく秩序が乱れる、
グループになじめない生徒はどうするんだ・・・」
などという声を聞くことが多くなりました。

それに対して、

「グループワークに慣れない先生も
多いかもしれないけれど、
できない理由を探すのではなく、
どうすれば教室という空間が、
良い人間関係を築く安全・安心の場にできるか、
日々工夫するのが教師の役割かもしれませんね」

などと応じてきました。

なぜなら、このような疑問を発する人の心の裏には、
「私はグループ活動が嫌いなのでやりたくありません」
という思いが見え隠れするからです。

もちろん、私は、グループワークを
積極的に行おうと考える派です。

グループワークなんか嫌だと思っている教師や生徒が、
経験してみたらとても充実し、自分が変わった、
と思えるようになって欲しいと思っています。 

白状すると、それは、私自身の経験でもあります。
私は、学生時代、黙々と一人で勉強していました。

グループでの学びあいなんて大っっ嫌いの
糞食らえでした。
クラスの中にいる、ポジティブでクリエイティブな人たちに、
ある種の羨望の気持ちを抱きながらも、
自分はそんな世界と距離を置いていました。

それは、自分の弱点や、失敗する姿を
人前にさらすのが恐かっただけなのでしょう。

もちろん、一人で黙々と勉強することは
大切なことで、それによって、
自分自身多くのものを得てきました。

でも、他者との協働によって、
新しい価値を創り出したり、
人への優しさや共感する力を身につけるなど、
自分の可能性をもっと広げることが
できたのではないかと今は思うのです。

現在、私は、校種、職種、年齢、国籍などを超えて、
多くの人たちと学びあう機会に恵まれています。

すると、かつて自分がガチガチに身にまとっていた
プライドや自意識過剰が無くなり、
自分が確実に変わってきたと実感しています。

私のような年齢になってからでさえそうならば、
若い人たちならなおさらではないかと思います。

そんな私の思いを子ども達にも味わって欲しいし、
アクティブラーニングブームを捉えて
全体のものとすることで、
教室をいじめのない安心な空間に変えていく
チャンスでもあると思っています。

ところが、最近、グループワークを
取り入れた授業を参観する中で、
ある種の違和感が芽生えてきました。

そして、グループワークの危険性について
気になるようになってきました。

それは、グループワークによって、
授業の雰囲気が暗くなったり、
人間関係を気まずくしてしまうような、
そんな悪いムードを助長するような
授業を目の当たりにすることが結構あったからです。

そこで、今回と次回の2回にわたり、
グループ活動について、
まとめてみようと思います。

今回は、3つの事例を紹介しながら、
私の抱く違和感について記してみます。


<以下省略>

続きは「数学教室」1月号で。

 

「大学への数学への架け橋 重積分」

先日、大学への数学への架け橋として、
重積分に出てくるヤコビアンについて記しました。

やこびあ~ん

私が、8年前花巻北高校に勤めていた時にも、
大学初年級の数学の勉強をしていた
Sさんという生徒がいて、
ちょくちょく質問を受けていました。

ある日、彼女が重積分のこんな問題を持ってきました。

重積分01

そのときのやりとりの様子を
対話形式でまとめてみます。

S:この問題ですが、答えを見ても
 よくわからなかったんですけれど。

T:答えはどうなっていたの?

S:答えは次のようになっていました。  
 
重積分02

  なぜ急に1/nが出てくるのかとかが
  分からないのです。

T:なるほど。じゃあ少しじっくり考えてみましょう。   

  まず、  

  重積分03

  の意味を考えましょう。   

  これは、xy 平面上の領域 D 内の
  すべての点 (x , y) に対して、

  重積分04

  の値を計算して
  (それにdxdyという無限小幅をかけて)
  足しまくるというイメージです。   

  今、Dでは y>x なので、 z>0 です。

  すると、これは、
  曲面 z=f(x ,y) とxy平面で囲まれる
  部分の体積を求めていることになりますね。

  D内で (x , y) が変化すると z=f(x , y) がそれに
  ともなって決定します。

重積分05

  すると空間に曲面ができます。

  z>0 のとき、曲面と xy平面で
  囲まれた部分の体積は、
  dV=z dxdy (上の図の直方体)から

  重積分03

  となります。

  今、領域 D を xy平面上に図示すると、   
  図のようになります。

重積分06

  この領域内のすべての点にわたって

  重積分04

  を計算するためには、点を選ぶ順序を
  うまく決めなければならなりません。   

  君はパソコンでプログラミングができるよね。   

  例えばBASICで次のようなプログラムを
  考えてみましょう。

① for i=1 to 5   
② for j=1 to 3
③ y=i : x=j
④ next j
⑤ next i   

  このプログラムはどんな処理をしていると思う?

S: まず、 y=1 のとき x=1,2,3、
  y=2のとき x=1,2,3… 
  というカンジなので、

  結局 (x , y) の組は

  (1 , 1) , (2 , 1) , (3 , 1)
  (1 , 2) , (2 , 2) , (3 , 2)
  (1 , 3) , (2 , 3) , (3 , 3)
  (1 , 4) , (2 , 4) , (3 , 4)
  (1 , 5) , (2 , 5) , (3 , 5)
  
  という15個になります。

T:そうです。これがまさに重積分の考え方です。

S:なるほど、for i=1 to 5 は

  重積分07

  next i はdy に対応しているカンジですね。

T:そう。プログラムの②行目から④行目は
  いわばxで積分しているところなので、
  ここでは、yは定数となっていることに注意しましょう。
  
  さて、本題に戻りましょう。

  Dは、 0≦y≦1 , 0≦x<y

  なので、これをBASICのプログラミングで
  イメージすると

for y=0 to 1
for x=0 to y
S=f(x , y)+S
next x
next y


  つまり、図のような形で、D内の点を
  しらみつぶしに網羅していくわけですね。

  重積分08

  さて、そこでポイントです。   

  今、関数は

  重積分04

  だったので、これは y=x 上の点では定義されませんね。

S:あっそうか。分母が0になるんだ。

T:そうです。ですからこの積分は、
  2重積分の広義積分(仮性積分)なのです。   
  つまり、0の少し手前からスタートして、
  y=x の少し手前で終了する形にして、積分をして、
  その後、その微小部分を0に近づけるという作戦です。

S:だから 

  重積分09

  なんですね。

T:あとは普通の広義積分なので、
  計算すればいいだけです。

重積分10






 

「学校マネジメントと授業マネジメントの親和性」

昨日は市立函館高校の教員研修会に呼ばれ、
授業参観、研究協議と講演を行いました。

本校から2人の先生も参加させていただきました。

明るくて素直な生徒、
そして、教員と生徒が
とてもいい関係を築いている学校です。

前日の夜、私が函館に行くことを、
私の尊敬する函館在住の
西谷優一先生にお話ししたところ、
急な話にもかかわらず、
駅まで迎えにきてくださいました。

五稜郭を案内していただいたり、
先生の経営する「数学工房」で
数学談議を楽しんだり、

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更に、とても雰囲気のいい食堂や
喫茶店に連れてっていただいたり・・。

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本当に大変お世話になりました。
ありがとうございました。

講演の方も無事終了。

90人近い先生方が参加され、
とても熱心な姿勢に心が打たれました。

途中のグループワークの様子を見ても、
先生方の意識の高さを実感しました。

終了後の校長先生との
アフタートークも盛り上がりました。

そして、夜の部の懇親会では、
函館の絶品料理に舌鼓を打ちながら、
本当に熱心な先生方とお話をすることができました。

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さて、

昨日の講演で、学校経営計画と
授業マネジメントについて少し触れました。

以下にそのことを少し記しておこうと思います。

学校経営計画なんて絵に描いた餅だ、
前年踏襲、例年通りで波風立てぬ、
と考える人がいるかもしれません。

でも私はそうは思いません。

経営計画とは、職員と生徒が一緒に船に乗り、
教育活動という航路を進むための「帆の掛け方」。

掛け方次第で、ゴールに最短で到着するだけの
陳腐なものになるかもしれないし、
エキサイティングで魅力的なコースが
生まれることもあるでしょう。

学校経営計画を策定するにあたり問われるのは、
「何を行うか」「前年度は何をやっていたか」といった
「WHAT」ではなく、社会全体の動向の認識や、
学校内外の多様なリソースに注目するなどといった、
作成する側の持つ見識ではないかと思います。

私は、亀井浩明氏(帝京大名誉教授)が
提起されていることを参考に、
図にあげるような11の見識をもとにしています。

図版③おまけ2


経営計画を立てたとき、ふと感じました。

それは、このような見識は、学校経営に限らず、
何かを計画する際の
普遍的な原則ではないかということです。

とすれば、授業も、このような視点に立って
設計すべきではないかと思いました。

私は数学の教員なのですが、
これまで授業計画というと、どんな教材を選ぶか、
年間指導計画と評価基準をどうするか、
課題はどのようなペースで出すか、
などといったことしか考えてきませんでした。

図版③おまけ

それはごく普通の視点のように見えます。

しかし、掘り下げてみると、
受験学力的な側面でしか学力を捉えていないことや、
教科書の内容をいかに効率的に伝えていくかが
前提になっているようにも思えます。

そこで、私はこの経営計画の見識と対比させて
「生きて働く楽しい数学の授業を行うための見識」として
図(の右側)のような柱を立ててみました。

図③改訂

つまり、学校マネジメントも授業マネジメントも、
同じ視点で考えられるべきものであり、
一方は、アクティブラーナーを創り出す組織に、
もう一方は、授業が「主体的、対話的で深い学び」
を生み出す場につながることが
期待されるのではないかと思うのです。


 

やこびあ~ん

先日、かつての勤務校の教え子と
ばったり会いました。

彼は、大学1年次に解析の重積分に登場する
ヤコビアンの意味がわからなくて
挫折しそうになったという話しをしていました。

ヤコビアン(関数行列式)とは、
多変数関数の積分の変数変換を行なうときの
通行手形みたいなものです。

私は、彼のその話を聞いて、
思い出したことがありました。

もう10年以上も前の話しですが、
AO入試で、某大学に合格し、
大学初年級の数学を一人で学びはじめた
K君という生徒がいました。

彼から、次の定理1の
J(ヤコビアン)の意味がわからない
という質問を受けたことがあります。

定理1
fig-01.png


私は、ヤコビアンを説明することで、
高校で学んでいる1変数関数における
置換積分の意味の深い理解に
到達できるのではないかと思いました。

そして、大学数学を展望するような
学びに繋がるかもしれないと考え、
K君と一緒に勉強しながら2人で対話をしました。

以下にそのときの内容を記したいと思います。

ちょっと長くなりますよ。

【1変数関数の置換積分】

T:まず、1変数関数の置換積分からはじめてみましょう。
 例えば
 
 fig-03.png

 を置換積分してみましょう。 

K:えっこれをですか。t=3x とするんですよね。
  まず、積分範囲が変わります

  fig-04.png

  次に、t=3xから、dt=3dx なので、

  fig-05.png

 となります。

T:ではここで、この式を1行ずつ分析してみましょう。
 まず、最初の t=3x は、
 xの世界からtの世界への写像を表しています。   
 図に描くとこんなカンジです。

 fig-10.png


 これは、先ほどの定理1では、

 fign-05.png

 にあたります。

 そして、上のグラフでもわかるように
 x の1つ1つに対して、t=3x (xを3倍する)
 という規則(写像)は1対1対応になっていますね。  

 すると、次の行の

 fig-04.png
 
 は、0≦x≦1 という領域が(xを3倍する)
 という規則(写像)によって、
 0≦t≦3 に移っていることを示しています。

  ここまでの話が、【定理1】の

 fig-07.png

 にあたります。

K:なるほど。ということは、
 
 fig-08.png

 の部分が、定理1の

 fig-09.png

 にあたっているわけですね。

T:そうです。つまり、

 fig-08.png

 の1/3にあたるのが、|J|というわけです。   
 
 先ほどのグラフを見ると、 x の分割を等分割としたとき、
 t の分割はその3倍になっています。

 つまり、dt=3 dx というのは、
 2つの世界における分割を
 バトンタッチする式なんですね。

 では、そういうことを踏まえて、
 今度は2変数関数の積分の話に
 進んでいきたいと思います。

【重積分と体積】

T:1変数関数の場合は、y=f(x) は
 平面上の曲線を表すので
 (yが非負の場合は)グラフとx軸で囲まれる面積
 と考えることができるわけですが、
 2変数関数の場合は、z=f(x,y) は
 空間上の曲面を表しますので
 (zが非負の場合)曲面とxy平面上の
 体積とみることができます。
 
 fig-11.png

 図において、有界閉領域Dの上にある
 曲面z=f(x,y)との体積は、重積分を用いて、

 fig-12.png

 と表します。 体積を求める原理は、
 次の図のように、D内を格子状に分割して、
 その上に高さが z=f(x,y)の柱を立てて、
 その微小直方体の体積を
 足し合わせていくということです。

fig-13.png
 式のイメージは次の通りです。

fig-14.png


K:実際の計算では、累次積分にするのですね。

T:そうです。つまり、まずx方向に足し合わせて、
 x軸に平行な面を作って、それを y方向に1歩ずつ
 じりじりと進めて加えていくか、
 またはその逆に考えるかです。
 
 ベーシックのプログラムでイメージするとこんなカンジです。

 for y=y1 to y2
  for x=x1 to x2
  S=S+f(x,y)
  next x
  next y

 さて、考えている底面の領域Dは、
 細かく等分割化されています。                 
 
 fig-15.png

 この領域Dは変数変換 
 x=x(u,v) y=y(u,v)によって
 どんな分割の領域に移るでしょうか。

 上の図の細かい長方形を作っている
 それぞれの直線が変数変換によって
 ある曲線に変わりますから、
 それらの曲線で囲まれた細かな図形が
 新しい底面になるはずです。   

 では、具体的にやってみます。
 まずuを、u1,u2,u3
 というように細かく分割します。
 ここで、

 △u=uk+1-uk

 と見るのです。

 そして、各ukを固定したときの曲線(x,y)を描いていきます。   
 例えば、u=u1としたとき、
 x=x(u1,v), y=y(u1,v)
 を満たす曲線が下図のようだったとしましょう。

 fig-16.png


 次に今度はu=u2と固定して、
 同様の曲線を図示します。                
 これを続けていくと、下図のような縞模様が
 できあがっていきます。

 fig-17.png

K:なるほど。ということは、今度はvについても同様に、
 v1,v2,v3,…
 として曲線を作っていくんですね。

T:そうです。そうして新しく「ゆがんだ格子」
 で作られた領域D'が得られるわけです。
 例えば、下図のような曲線に移ったとします。

 fig-18.png

 こうしてできた新しいゆがんだ格子と、
 もとのxy平面上の格子が対応しているわけです。                

K:そこで、2つの格子の面積の比較が
 問題になるわけですね。

T:その通りです。1変数の場合は、
 単に軸上の分割の対応でしたが、
 2変数の場合はこのように、
 格子とゆがんだ格子との面積の対応になるわけです。     


【ヤコビアン】

T:では、ヤコビアンの説明に入ります。

 図のように、新しいゆがんだ格子ができたとします。

 fig-19.png

 このとき、分割をどんどん細かくしていくと、
 図形PQRSは、ほとんど、ベクトルPQ、ベクトルPSで
 つくられる平行四辺形の面積と
 変わりなくなるというのがポイントです。

 ではまず、図形PQRSの面積を考えてみます。

 fign-01.png

 なので、

 fig-22.png

 ここで、ベクトルPQ、ベクトルPSで張られる
 平行四辺形の面積ですが
 どう考えればよかったですか。

K:一般に、
 
 fign-02.png
 で張られる平行四辺形の面積は、
 次のような図形の変形で考えることができます。

fig-20.png

T:そうですね。ただし、これは符号付面積なので、
  面積は
 
  fig-21.png

 となりますね。
 そうすると、□PQRSの(符号付)面積は、

 fig-23.png

 ここで、
 
 fign-03.png
  
 は、v を固定したときの、xの増分ですから
 分割を0に近づけると、

 fign-04.png

 とおけます。これがポイント。

K:ええと、図に描くとこんなカンジですね。

  fig-26.png

T:いよいよフィニッシュです。
  
 fig-27.png

  とそれぞれおけますから、
 □PQRSの(符号付)面積は、

 fig-28.png

ここで、一般に、行列式において、

 fig-29.png

 が成り立つので、

 fig-30.png

 これを領域D'内全体で動的に考えた式が、    

 fig-31.png

 となるわけです。

K:ついにヤコビアンが登場しましたね。
  
  fig-02.png

 とおけば、 変数変換した式を
 体積としてイメージすると

 fig-32.png

  というように変換されたことがわかりました!

T:K: やこびあ~ん