今日学校を出て、
ふと空を見上げたら、
月がとてもきれいでした。
ところで、
昨日見たテレビ(の録画「相棒」)に
夏目漱石のエピソードが
紹介されていました。
それは、漱石が
英語の教師をしていたときのこと。
生徒が「I love you」を
「私はあなたを愛す」と訳したのを聞いて、
「日本人ならそのような言い方はしない。
月が綺麗ですね、とでも訳しておきなさい」
と言ったとか言わないとか。
そこで、私が思ったのは、
ジャズのスタンダードナンバーの
fly me to the moon
のことでした。
この曲は、別名
「In other words」(言い換えれば)
と呼ばれます。
そして、歌詞の最後には
「in other words , I love you」
とあります。
つまり、「I love you 」を
「私を月に連れて行って」
と言い換えているということ。
そうか!
fly me to the moonのルーツは
夏目漱石にあったんだ!
\(^^)/♪
なんてね。
fly me to the moon は、
Bart Howardが1950年代に作詞作曲し、
フランクシナトラはじめ、
多くの歌手が歌っています。
そして、1950年代といえば、
夏目漱石は既におりませんからね。
Bart Howardは、夏目漱石の
エピソードを知っていたのだ!
まさかそんなことはないでしょうけど。
でも、そう考えると、この歌は、
日本から逆輸入したみたいに
思えて面白いですね。
センター試験の数学ⅡBが
非常に悪かったですね。
ある先生に聞いたら、
まず1番の問題から
つぶれてしまった生徒も
多かったとのこと。
こんな問題です。

この問題はずばり、
(2cosθ, 2sinθ)+(cos7θ, sin7θ)
と分解して
「折れ線の回転」と見ることです。
このような見方がすぐできるような
指導をしていないと、
センター試験の三角関数の問題は
できませんよ、ということを、
私は、もう数年前から
あちこちで何度も話しております。
とはいえ、
問題文の誘導はひどいですね。
2点間の距離を用い、
更に加法定理の「逆追い変形」という
テクニカルな手法に導いていきます。
なぜ、敢えてイバラの道に
受験者を誘導するのでしょう。
私の解答は以下の通り。


折れ線の回転でイメージしていれば、
OQの2乗は、
三角形の余弦定理で求めるのが自然です。
では、続きの問題を見てみましょう。

(2)のO,P,Q が
一直線上にあるときのθですが、
この誘導も感心しませんね。
OPの直線の方程式を求めさせ、
Qがその直線上にあるということから、
代入して方程式を解くという流れです。
恐らくこんな解答でしょうね。

いきなり、x,yが登場したり、
変形も加法定理を駆使するなど、
煩雑ですね。
θを求めるなら、普通は動径を
調べればいいと思いませんか?
以下、私の解答です。

計算は殆どありません。
(3)も同様に考えてみましょう。


とても簡単でしょう。
図形的な見方をすることよって
問題の意味が見えてきます。
一方、作題者が要求する方向、
つまり、代数計算に落し込めると、
意味はわからなくても
「手の運動」の世界で
解答にたどり着きます。
それはそれで、数学の良さ
かもしれません。
でも、そればっかりではねえ。
数学者の寺田文行氏は、
「入試問題は生徒をエンカレッジ
するものでなければならない」
とおっしゃっていますが、
このセンターの問題の誘導は、
「数学的な見方考え方」
を重視する学習指導要領の趣旨とは
異なるような気が私はするのですが・・・
数学とは、意味など考えなくても、
ある前提と条件から演繹的に
推論を繰り返し、数式という数学的言語
に変換して、結論にたどり着く、
それ以上でもそれ以下でもない、
ということなのでしょうか。
今回のセンターの悲惨な結果を見て、
ある数学の先生が、
「今後は更に難しい問題の演習に
時間をかけなければならない」
と言っていました。
そうなのかなあ。
もし私が、
この問題を解説することがあれば、
Qの動きを、次のような
アニメーションを見せて
折れ線の回転の面白さを示してみたい。
そして、
加法定理や合成、和積公式まで
折れ線の回転で考えさせる。
理系の生徒にはフーリエ級数の
入り口を垣間見せることも可能でしょう。
こんな動画を作って見せると、
進学校の先生方から
(あるいは生徒から!)
「そんなものを見せても点数にならない」
「かえって、難しくして生徒を混乱させる」
「それは、理系で数学Ⅲをとる
生徒だけに話せばよい」
などとミもフタもないことを
言われるのでせうね。
でも、そうやって、パターン練習とドリルで
時間をかけて演習を繰り返してきても、
このような惨憺たる結果である、ということを、
進学指導に携わる先生方は、
もう少し考えてみるべきではないかと
私は思います。