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花巻南高校進路講演会

ブログの更新がままならない今日この頃です。

ようやくですが、
2月6日に花巻南高校で行った
講演会について
まとめておきたいと思います。

1年生の進路講演会ということなので、

「『Ikigai』を意識したキャリアデザインを」

というテーマで、
私の知っている花巻南高校出身者の
姿を語ることから出発して、
働くことや幸せに生きることについて
お話をしました。

因みに今、
「ikigai」という言葉が、
様々な場で注目を浴びていますね。

Ikigaiとは

LOVE (大好きな事を続ける)
GREAT AT(得意な事をする)
PAID FOR(生活を支える)
NEED(世界・社会が必要としている事に応える)

という4つの要素が
重なったところにあるといわれています。

それは、生きる目的であり、
幸せなキャリアといってもいいかもしれません。

このことをベン図によって表現しているものを
ネット上でよく見ます。

でも、4つの集合は
ベン図ですべての関係を表しきれないので、
私は次のようなベイチ図で表現してみました。

ikigai01.png

話しを戻します。

私はオープニングのスライドを
こんな風にしてみました。

花南スライド01LT

「ikigaiイノシシ」が
円万寺の空を飛ぶ絵です。

猪突猛進するイノシシは、
誰かに教えられた未来のために、
あるコースを走らされているのではなく、
これらの4つの要素を携えて
猛然と走ることで
未来を「創る」「切り拓く」のだ
ということを強調しました。

講演の冒頭に、
ikigaiのヒントを見つけるために、
私が知っている花巻南高校の卒業生5人を
ピックアップしました。

それは、宮沢賢治の妹トシ、
漫画家の池野恋、
東北弁落語家の六華亭遊花、
ミスターオブミスターの佐藤雅也、
そして私の職場の同僚のSさんです。

この5人全員に共通している生き方を、

誰かのために
誰かの喜ぶ顔をみたいために
自らも楽しみながら
自分らしさにこだわりながら
自分を磨く


とまとめてみました。

そして、人がikigaiを感じるには、
「~のために」精神が大切ということで、
次のスライドを提示しました。

花南スライド15LT

これはガールスカウトのポリシーを
参考にしたものです。

これらの4つの「~のめに」は、
どれかが強まると、他も強まるという、
相互に関連しあうものだと思います。

つまり、人のために何かをするということは、
自分を活かすことでもあるということですね。

そして、世界中の人たちは
誰かと繋がりあって生きていること、
世の中の職業は必ず
「~のために」精神で成り立っていることを、
私の膝痛の経験談を通して話しました。

花南スライド13LT

花南スライド14LT

また、六華亭遊花さんが、
落語に東北弁というテイストを混ぜ合わせ、
敢えて女性落語家という
ニッチな領域を切り開いたことや、
Sさんが得意の切り絵と保育士経験を活かして
職場で自分の居場所を掴み取ったという話から、
自分の好きや得意を、
単独ではなく、かけあわせることで、
新たな価値が芽生え、顧客が生まれ、
仕事につながっていくという話しもしました。

花南スライド02LT

その他、夢をつくり育てるために、
周りを見つめ「なぜ」の視点を持つこと。

幸せは築くことより気づくこと。
気づきの感度をたかめるためにはどうするか。

など、例によって
モリモリの内容になってしまいました。

順不同ですが、
いくつかスライドを紹介しますね。

花南スライド03LT

花南スライド17LT

花南スライド16LT

花南スライド04LT

花南スライド18LT


最後にまとめとして、

未来を切り開くために、
どうすれば、私たちは「新しい目」を得て、
「真の発見を得る旅人」になれるか
という提起をしました。

これもスライドで紹介します。

花南スライド05LT

花南スライド06LT

これが今回私が一番言いたかったことです。


終わりに、オマケとして
嵐のことも話しました。

なぜ嵐はこんなにも国民的人気が
持続しているのでしょう。

「見た目がカッコいい」
「顔が小さい」
「スタイルがいい」
「トークがおもろい」
「歌と踊りがうまい」

これらは表に現れた、いわば目に見える部分。
でも私は先日、彼らの会見を聞いて
なるほど!と膝を打ちました。

それは、仲間への、絆・信頼・共感力、
そしてアイドルとしての
使命感・責任感・ポリシーが
根っ子にしっかりあるからだ。
だからこそ、信じて留まること、
あるいは勇気をもって変化することが
できるんだと思ったのでした。

花南スライド12LT

高校生活は地図を作ることだけではなく、
コンパスを身につけることでもあるということですね。

ちょっと雑ぱくなまとめになりました。




花巻南高校の200人の1年生たち、
皆いい顔をしていました。

前列の生徒には写真を撮ってもらったり、
私のオヤジトークに
笑顔で付き合ってもらったり。
とてもありがたかったです。

花巻南高校の1年生の皆さん
ありがとうございました。

hanaminamip-01.jpg




以下に生徒の感想のいくつかを紹介します。


今日の講演会を聞いて、
改めて自分は将来何をしたいのか、
また、何のためにそれをしたいのか深く考えた。
幸せに生きるための5つの条件と、
幸せを引き寄せる4つの因子を聞いて、
ただ夢に向かってやりたいと思うだけではなく、
そのために行動しなければいけないと気づいた。
今回の講演で、改めて考える機会ができて
本当に良かった。
これから将来に向けて、
自分が考えないといけないことは
たくさんあるけど、
まず「何でそれをやりたいのか」
「何のためにやるのか」を
しっかり考えていきたい。


今回の講演でわかったことは、
人は必ず「誰かのために」
役に立っているんだということでした。
今まで大人になって働かないと、
社会や地域のために役立っていないと
ずっと思っていて、
だから今の自分は役立っていないと
思っていました。
けれど学校に来て、友達と会話することでも、
その友達の役に立っているんだなと思うと
なんか自信が持てた。
仕事は好きなことをやりたいと思っても
現実は甘くない。
「だから嫌な仕事でもやる」のではなくて、
「自分が好きなことを組み合わせてやる」
ということもある。
自分の夢をもう一度考えたいと思った。


花巻南高校を卒業した5人の先輩は
「~のために」が共通していると思った。
誰かのために何かをするのは、
後に自分に返ってくるので、
大切なことだと思った。
私たちが毎週やっている課題も
ネガティブに思わず、
勉強を理解できる達成感を得られる、
などポジティブに捉えていく方が
プラスになっていいと思いました。


今日の講演会を通して、
今自分がいるのは
誰かに支えてもらっているからで、
16年間お世話になった人に
お礼をするのは無理なので、
だから誰かのために
今度は自分が支えようと思いました。
「~のために」という言葉は、
私の未来にも大切な言葉だと思いました。
誰かのために強みや好きを自分のものにして、
将来の仕事にかかわる人や
これから支えてくれる人のためにも
役立てたいと思いました。
私にはまだこれといったちゃんとした夢がないので、
なぜ(Why)という根っ子をしっかりもって
何をすればいいのか(What)
というやり方で夢をみつけたいと思いました。
そして自分のできることからでも
行動していきたいと思いました。


今日の講演会を通して、
自分は「主体的に生きる人」でありたい、
そうなりたいと強く思った。
自分は今、「主体的でない」
に当てはまっていると思う。
主体的に生きるために、これから先、
「~のために」を大切にして、今から変わりたい。
与えられたことだけをただただこなしていくだけじゃ
何のためにもなっていないことに気づかされた。
自分で考え行動していくことで
誰かのためにもなるということを
あらためて考えることができた。
「幸せは築くことより気づくこと」という言葉が
自分の中で印象に残った。
幸せを引き寄せるために
「ありがとう」という感謝の気持ち
「ありのままに」という自分らしさ、
「なんとかなる」という前向きさ、
「やってみよう」という挑戦する強さが
大切だと思った。


今回の講演会を聞いて、
改めて自分の将来について
もっと深く考えたいなと思いました。
まず「〇〇すべき」から「〇〇のために」
という考えに変えて生活していこうと思いました。
今の私は「〇〇のために」という考えは
あまり持っていなかったと思います。
今回をきっかけに変えていこうと思いました。
よくよく考えてみると、
私はあまり主体的ではないなと思いました。
私はたくさんの人たちに支えられて生きていて、
自分から進んで行動を起こす
ということがなかったです。
このままだと能力を失ったり、
他人にあわせながら生きていくことになります。
そうなるのは嫌なので、
少しずつ主体的に行動して
「拓く人」になっていきたいです。
そして幸せを引き寄せる因子、
毎日の感謝を書くことを
今日からやってみようと思いました。


目的や、やらなければいけないことがあるとき、
どのようにして取り組むか手段ばかり考えていて、
作業がなかなか進まないことがありました。
しかし、今回の講演の中で、
Why→How→Whatの順番で
考えればよいという話しがあり、
なぜそれをやりたいのか、
やらなければいけないのかを先に考えれば、
自然とやり方が浮かんできて
作業がはかどるのではないかと思いました。
また、「幸せは築くものではなく気づくもの」
という言葉から、幸せ像を自分の中で固めず、
冷静にまわりを見て、
小さいことにも感謝をすれば
幸せになれるのではないかと思いました。


夢がこんなにも深いものだとは知らなかった。
自分がどんな進路をたどっていくのか、
今の自分にはまだわからないけれど、
進路について聞かれたとき
「なぜ」「どんな」「何をすべき」というのを明確にして、
はっきりとそれが言えるようになりたいと思いました。
また「やらされる」から「自分から行動する」
ようになるのは、そう簡単にはなれないけれど、
少しずつ変われたら良いなと思いました。
自分には「なりたいもの」というのがたくさんあって、
結局「1つに決めてそれを続けなければならない」
と考えていたけれど、
途中で道を変えるのも
別に悪いことでないんだなと感じました。
幸せは身近にあることだと聞いて、
授業を受けられるのも、学校に行けるのも、
友達に会えるのも「幸せ」なんだと思いました。
自分は幸せを見つけるだけでなく、
小さくても人と幸せを共有できる人に
なれればと感じました。


 

シャイな人

昨日は、みちのくクボタ代表取締役社長で、
花巻商工会議所の会頭でもある
高橋豊さんの旭日小綬章受賞
記念祝賀会に出席しました。

料理も極上、随処の細かい心配り、
おもてなしも最高。

そして登場の場面で流れた
「下町ロケット」のテーマ曲には
「さすが!」と思わず笑顔になりました。

3名の国会議員、
県政の要職にある方々、
花巻市長さんはじめ市の中枢の方々、
そして花巻市内の300名余りの社長さん等々、
多くの皆様が集い、彼を祝福しました。

そんな中、何の肩書もない私など、
ご案内をいただいても
固辞するところではあります。

でも、私は豊さんを
心から祝福したいという思いが強く、
思い切って出席することにしたのでした。

豊さんは、飲み会の後、私を駅まで
車で送ってくださったこともありました。

昨年彼がホットスプリングスを
訪問されたときには、帰国後私に、
「下町さんのイラストが
ASMSAに飾られていたよ」
とわざわざ教えてくださいました。

そうです。彼は気配りの人なのです。

乾杯の挨拶で、
岩手銀行代表取締役の高橋真裕様が
「豊さんはシャイな人物」と話されたとき、
私はなるほどと膝を打ちました。

確かに彼はシャイです。
でもそのシャイとは高橋様が言うように
「恥を知る人」であり「謙虚な人」
という意味なのです。

私は、これこそが
これからのマネジメントに必要な
リーダーシップではないかと思うのです。

豊会頭おめでとうございます!

0217-01LT.jpg

料理は、私の中では、千秋閣史上最高でした。

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「shiawase3.0」のお知らせ

3月20日は世界幸福デー
(The International Day of Happiness)です。

これは、2012年6月に国連決議として
加盟国満場一致で採択した、
世界の人々が幸せを考える日のことです。

この翌日である21日の春分の日に、
武蔵野大学有明キャンパスで
「shiawase3.0」というビッグイベントが開催されます。

今年で3回目ということですが、
昨年は1500人もの来場があったとのことです。

私は今回初めて参加しますが、
私のイメージでは、
集まった皆で創り上げていく
「幸せクリエイター養成ワンデーセミナー」
というカンジです。

内容は学会、対談、ワークショップの3つですが、
それぞれまさに幸せてんこ盛り、
凄い一日になりそうです。

しかも参加費は無料です。

私は、キャリアクエストの
齋藤 みずほさんと

「ハッピーマネージメント
〜人生の質を高め、豊かに生きるコツ〜」

というワークショップを行います。

ここでいう「マネジメント」とは、
学校や企業の経営という側面だけではなく、
子育て、勉強、料理、デートの計画、
一日をどう生きるか等々、
幅広く捉えています。

皆さんもぜひshiawase3.0に参加され、
もし興味がありましたら
私たちのワークショップも
のぞいてみてくださいね。

Happy PERMAチョコのプレゼントもありますよ~。

申込みはこちらから⇒★★


 

「情報」における課題①

1月17日に、朝日新聞から取材があり
「社会と情報」の授業参観と、
インタビューを受けました。

その記者は、現行の「情報」について
いくつかの問題意識を持っていて、
それを記事にまとめたいとのことでした。

なぜ、私に取材に来たのか聞いたところ、
上に対して忖度がなく、
本音の話を聞けそうだから、とのこと。

うーん。

これは褒められているのか。
確かに失うものは
何もない私ではありますが。

早速、昨日の朝刊に
その記事が載っていました。

0119asahiLT.jpg

「先生が掛け持ち もう限界」
という見出しに、
ちょっとびっくりしました。

そして、「朝日新聞らしいなあ」
と苦笑いしました。

私は、取材の中で
「限界」という言葉を使ったのは、
これまで教育委員会が実施してきた
情報担当者の「資格化」のシステムが
限界を迎えているのではないか、
という文脈においてです。

でも、この見出しを見ると、
教員が掛け持ちで
情報を担当しているため、
「我慢も限界」とか
「疲労も限界」みたいなニュアンスで
とられがちですね。

まあ、そのような状況も
ないわけではないでしょうから、
あえて批判しようとは思いませんが。

ただ、この取材を通して伝えたかった、
「情報」に関しての私が抱く
問題意識について、
新聞の記事だけでは足りないので、
以下に少しまとめておきたいと思います。

私の問題意識は3つあります。

一つは担当者の問題。
もちろん資格化の
システムの問題も含みます。

二つ目は時代の変化に応じた
学習内容の問い直しについて。

三つ目は大学共通テストとの関わりです。

これらについて述べる前に、
昨年、大妻嵐山高校での研究会のために
作っていた資料に
追加分を加えたものをご紹介します。

今年度私が行った授業と、
かつて盛岡三高や
花巻北高校で行った授業の
トピックスをまとめてみたものです。

関心のある方はこちらからどうぞ→★★

50ページ近くになりますが。

では、まず担当者の問題について
私見を述べます。

岩手県では、数学、理科、家庭科など
他の教員免許を持つ教員に研修を行って、
情報の免許を与える形になっています。

ですので、大学で
情報の免許を取得した学生に対して
教員採用試験を実施するということは
これまで一度も行われていません。

このような形で、
情報の教員免許を付与された教員が
県内で200名ほどいるといわれています。

県内の学校数は70校に満たないので、
一見十分な数に見えますが、
実際はそのような単純な問題ではありません。

まず、第一に
教員免許を持っている教員の
高齢化の問題があります。

情報の免許研修が始まったのは
平成13年頃だったと思います。

最初に免許を取った教員が、
翌年の研修講師となり、
情報の教員が
再生産されていく仕組みでした。

このようにして数は確保されたものの、
現在はそれらの教員も高齢となり、
私の様に定年を迎える者も
どんどん増えていっている状況です。

そして、時代が変化する中で、
とりわけ「情報」は、
「昔取った杵柄」が
いつまでも通用する世界ではありません。
つねにトレンドを
追いかけていかなければならない
教科といえます。

そういう意味で、
情報をきちんと指導できる教員は
非常に数が限られているのが
実態ではないかと私は思います。

そして、第二に、免許取得者の
モチベーションの問題があります。

情報の免許を持つ教員は、
自ら進んで希望するのではなく、
上から命令されてやむなく取得した者が
殆どであると思います。

それはそうです。

よほどでない限り
自分の専門の教科を
ずっと指導していきたいと思うのは当然です。

私の経験を話します。

平成14年の盛岡三高時代、
数学科の中から
情報の免許研修を受ける者を
1人選出するようにと
県から通知されました。

もちろん、誰もやりたくありません。

皆数学の教員ですから、
当然数学を指導したいわけです。

ひとたび情報の免許を持つと、
数学を捨てて、
常に情報の教員として
生きていくことになるかもしれないのです。

つまり、教員キャリアの
ターニングポイントになるような、
それはとても大きな問題なのです。

盛岡三高では9人の数学科教員が集り
会議を行いました。

それは見事に誰もが一言も
言葉を発しない会議でした。

私はその沈黙にたまりかねて、
口火を切ってしまいました。

そうしたら結局、
私がやることになってしまいました。

その時、会議のメンバーの顔が
急にパアっと明るくなったことを
今でも鮮明に覚えています。

「協力するから」と皆さん言ってくれましたが、
後に「協力するという人ほど絶対に協力しない」
という定理が生まれることになります。

翌年、私は9クラスの情報の授業を
すべて受け持つことになり、
とても苦労しました。

恐らく、私の様に、
校内で指名されて
免許を「取らされた」教員も
多かったのではないかと思います。

では、現在の各学校の状況は
どうなっているでしょうか。

次のようなパターンが考えられます。

① 情報の免許取得者が担当する

県が想定するあるべきパターンでしょう。
ただ、大規模校だと1人では賄えないので、
TT型でやったり、
免許を持ってない教員を
免外申請して対応する形になるでしょう。

② 大学院生や大学の講師、民間人を活用する

私が副校長として盛岡三高に勤務していた時、
情報の免許を持った教諭が
3人以上いたのに、
実際に担当していたのは、
岩手県立大学の大学院生でした。
教員免許を持っていないので、
特別免許を申請して行っていました。

③ 複数の教科でローテーションを組んで
 免外申請して担当する


免許取得者がいない学校のパターンです。
例えば6クラスあれば、
英数国理社体から1名ずつ担当者を決めて、
1クラスずつまかなう、などといった
みんなで痛み分けするという考え方です。

④ 常勤講師、非常勤講師で対応する

私が花北に教諭として
勤務していたときは、
私が担当する他に、
定年退職した数学の先生を常勤講師として
専ら情報を担当していただいた
こともあります。
このように、常勤講師として
継続任用を希望する若い講師や、
退職者などに白羽の矢を立てる
というケースです。

いずれにせよ、
このような状況から透かして見えるのは
「情報はできるだけやりたくない」
という姿勢です。

だから「丸投げ」になったり、
あるいは、免外の教員でもできるように、
マニュアル化された教材を
前例踏襲型で行うスタイルから
抜けられなくなっている状況が
見られるのではないかと思います。

まずは、県が、
各学校でどのような対応をしているか
調査・把握し、その結果を
明らかにしていただきたいと思います。

だいぶ長くなってしまいました。
今回はここまでとしておきます。


 

思い出の教具たち④

またまた思い出の教具シリーズです。
教具と言っても、ただの麻紐に
磁石をくっつけただけのものです。

nawaLT.jpg

磁石は両端を含めて
21個を等間隔になるようにくっつけます。
つまり、麻紐を20等分する形です。

私はこれを、2次方程式の解の公式、
あるいは解と係数の関係の導入に使っていました。

以下にそれについて
記していきたいと思います。




【2次方程式の解の公式】

2次方程式の解の公式のルーツは、
紀元前2000年近くのハムラビ王の頃、
つまりバビロニア時代まで遡ります。

バビロニアでは
縄張師といわれる人たちがいて、
等間隔に印をつけた縄を用いて、
長方形状に土地を囲み、
川の氾濫で荒れた土地の
区画整理をしていたそうです。

例えば長さ20mの縄の場合、
下写真の様にいろいろな
長方形を作ることができますね。

縄張師LT

ここで注意することは、
これらの長方形は
みんな周の長さが同じですが、
それぞれ面積が異なっているということです。

ここで、少し脱線します。

「間違いだらけの学習論」
(新曜社/西林克彦)という本の中に
学習と定着について
興味深い記述がありました。

それは次の様なものです。

長さが60cmの針金が2本あり、
一方を15cm×15cmの正方形に、
もう一方を20cm×10cmの長方形にする。
このとき2つの四角形の面積は
どうなるかという問題を、
3歳から大学生までを対象に行った結果、
正答率が図のようになったのだそうです。

長方形の面積の変化

つまり決して年齢が高くなると
正答率も高くなるという関係に
なっていないことがわかります。

3歳から6歳までは
正答率が高くなっていくのですが、
小学校ではかえって低くなり、
特に小学校5年生では
何と正答率が0となっています。

なぜこのようなことが起こるのか。
西林氏は、ピアジェの保存の概念を
引用しながら次のように述べています。

例えば、幅の広いコップに入っている
ジュースを幅の狭いコップに移し替えると、
小学校就学以前の子どもは
水面の高い方を量が多いとするケースが多いが、
就学前後の年齢になると、
「保存」の概念が形成されていて、
「移し替えただけだから量は変わらない」
と考える。
この「保存」の概念が「何も取り去っていないし、
何も付け加えていない。
変形しただけだから量は変わらない」
というものだったとすると、
今の針金で長方形を作る問題も、
同じ針金を変形したから面積も同じ、
としてしまったと考えられます。


新しい概念を獲得することにより、
その概念の意味が
きちんと理解されていない場合、
誤りが誘発されることがある、
つまり学習が負の影響を
及ぼすことがありうることを
西林氏は指摘しているのですね。

考えてみると、高校数学でも
思い当たることがあります。

例えば2次不等式、 x^2+2x+4<0を
1年のときはできていたのに(解なし)、
2年になって、
-1-√3i<x<-1+√3i  
としてしまう答案に
よくお目にかかります。

つまり、2次方程式の解を
複素数まで拡張したという新しい概念を
半端に獲得したことによる弊害です。

この誤答の問題点を2つ指摘しておきます.

問題点1
2次不等式の解法を、
①因数分解する。
②因数分解できないときは
解の公式で2つの解を求めて、
「<」のときは「挟まれる」、
「>」のときは「分かれる」
などといったパターン分類によって解決していて、
意味を考えていないこと。

問題点2
虚数は実数と違い
大小関係のない特別な数だという
認識がないので、
意味不明でも解答として平気でいること。

これは、どちらも「意味」を捨て去って
操作のみに比重を置いた学習による
問題といえるかもしれませんね。

誤解のないように補足すると、
パターン化して一定のアルゴリズムで
自動的に解答を導くことは、
数学の良さの一つです。

しかし、その良さとは、
パターン化できる数学の美しさであり、
パターン化された「結果」のみを覚えて
問題解法のために活用することを
主目的にする勉強には問題があるということです。

他の領域とどのように繋がっているか、
どんな意味があるか、
発展して考えるとどうなるか、
背景は何か、得られた値の意味は何だろう・・・
などという学習は有意味学習といわれます。

有意味学習の対義語は
「機械的暗記」と呼ばれます。
意味を理解しないまま、
パターン化した解法のみを学習した場合は、
後の学習に悪い影響を及ぼすとともに、
概念が定着せず、
忘れやすいともいえると思います。

おっとすみません。

大幅に脱線してしまいましたね。

本題に戻りましょう。

バビロニアの縄張師たちは、
縦と横をかければ面積になることや、
正方形のときの面積が最大になることを
知っていました。

でも実は、もっとすごい秘密を
発見していたのです。

それは

「長方形の長辺の長さから
短辺の長さをひいたものの半分の2乗を
長方形の面積に加えると
ちょうど正方形の面積になる」

というものだそうです。

例えば、縦1横9の長方形の場合、
長辺-短辺=8、2で割って4、
これを2乗して16。
長方形の面積9に16を加えると25。

確かにこれは正方形の面積になっていますね。

他の長方形でもためしてみてください。
そしてなぜそうなるかを、
図を用いて考えてみてください。

ではバビロニア方式で
次の2次方程式を解いてみましょう。

x^2+6x-8=0
x^2+6x=8 (8を移項した)
x(x+6)=8 ・・★ (縦x横X+6の長方形の面積が8)
ここで
(x+6)-x=6(長辺-短辺)
6÷2=3(その半分)
これを2乗して9
この9を★の右辺に足した17が
正方形の面積になる。

ここで、正方形の1辺の長さは 
(x+x+6)÷2=x+3なので
(x+3)^2=17
x+3=±√17
x=-3±√17

バビロニアの方法は、
長方形を正方形化するという、
今でいうところの
「平方完成」を行っていたことになりますね。

【2次方程式の解と係数の関係】

2次方程式 ax^2+bx+c=0 (※)
の2つの解をα,βとすると
※の左辺は、
a(x-α)(x-β)
と考えることができるので、
両者を比較して次の式が導かれます。

α+β=-b/a・・・①
αβ=c/a・・・②

これを2次方程式の
解と係数の関係といいます。

多くの教師は、
解の公式で得た2つの解を、
唐突に「足す」「かける」という演算を行って、
その結果、係数の比になっているね、
という展開で説明しているように思います。

私は、解と係数の関係の導入の際、
まずはバビロニアの縄張師達の話しをします。

つまり①の式は長方形の縦と横の長さの和で、
②の式は長方形の面積を考えているとすれば、
①②の式の登場が自然に感じられると思うのです。

α+β=8 αβ=15 
からαとβを求める問題を
バビロニア風に解いてみましょう。

この問題は、周が16で
面積15の長方形の縦横の長さを求める
というように捉えることができますね。
 
長さ16の縄なので正方形を作ると
1辺が4になります。

そこでα=4+p,β=4-p
とすると、②から
(4+p)(4-p)=15  
つまり、p^2=1
α<βとすると 
α=3,β=5が得られます。


<オマケ>
3次方程式x^3-6x^2+11x-6=0  (※)
の3つの解をα,β,γとすると
※の左辺は
(x-α)(x-β)(x-γ)
となり、2次方程式のときと同様に
係数を比較すると次の3つの式が得られます。

α+β+γ=6・・・① 
αβ+βγ+γα=11 ・・・② 
αβγ=6・・・③

①②③を図形的に考えると、
①は直方体の辺の長さ、
②は表面積、
③は体積を表す式と見ることもできます。

直方体と解と係数の関係


例えば(※)は、
辺の長さの和6×4=24、
表面積11×2=22、
体積6の直方体の
3辺の長さを求める式と
見ることもできますね。